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FILE.55 ページ8

『・・・・ん』

目を開けると見慣れない風景が飛び込んできた。


ここは・・・・病院・・・?




「やっと起きたか」

声のする方へ視線を向けると松田が顔を覗き込んでいた。



『ま、松田・・・・・・』

ハッとして『”X”は!?あの男の子は無事!?』と身体を起こしながら尋ねる。


「オイ!いきなり起き上がるな!」

『あ、ごめん・・・・』

「・・・ったく、呼んでくるからちょっと待ってろ」と言って病室を出て行ってしまった。





しばらくすると、松田が医者と看護師を連れて戻って来た。上体を起こしたまま医者から簡単な診察を受ける。

「とりあえず問題なさそうですね。ですが、数日入院をして検査を受けてみましょうか」

『・・・わかりました』


診察が終わり医者と看護師が出て行くと、松田は何か言いたげな表情でこちらを見つめてきた。



そりゃ、そうだよな・・危うく死にかけるところだったし・・・・




「聞きてェことは山ほどあるが・・・・」


肩がビクッと跳ねる。

怒られると思い、目が合わないように下を向いた瞬間。




「無事でよかった・・・・!」



松田に抱きしめられた。




『ま、松田・・・・?』

「Aがいなくなるんじゃないかって不安だった」

『・・・・ゴメン』

「でも、あの時約束したから諦めなかった」

『・・・・そう・・だね。もうダメかもって思ってた時に、松田が助けに来てくれたんだよ』

「言ったろ?”どこにいたって見つけ出してやる”って」

『うん・・・見つけてくれてありがとう』


身体が離れると「身体張るのもほどほどにしろよ」と咎められた。さっきの雰囲気は一体どこに・・・?と思いながら『・・・善処します』と答える。


「周りを優先した結果、自分が窮地に追い込まれるようじゃダメだろうが」

『はい・・・・』

「即座に判断して臨機応変に対応できるっつーのはいいことかもしんねーけど、自分自身を蔑ろにしてちゃ命がいくらあっても足りねーよ。俺はAが―――――」

そこまで言うとハッとした表情をした。


『え、今――――』

「な、何でもねーよ!いいから寝ろ!!」


松田はそそくさと扉へ向かうと「・・・また明日くる」と呟いて病室を出て行った。






『・・・・何でもなくはないでしょ』


あんな顔を真っ赤にした状態で。絶対何かあるに決まってるじゃん。



何故か私の頬も火照ってしまい、松田が何て言おうとしていたのかいくら考えてもわからなかった。

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セカイ(プロフ) - 未零♪mirei♪さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2023年5月1日 23時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - まみこさん» コメントありがとうございます!恋人篇、絶賛更新中ですのでよかったらご覧ください! (2023年5月1日 23時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - エリザベス女王さん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2023年5月1日 23時) (レス) @page13 id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
未零♪mirei♪ - これからも、頑張ってください! (2023年1月4日 15時) (レス) @page4 id: 1f9aff915a (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 再会編完結おめでとうございます、これからも頑張ってください! (2022年8月16日 10時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セカイ | 作成日時:2022年7月21日 0時

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