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FILE.49 絶海の探偵 ページ2

No side


早朝の薄暗い中、倉田は懐中電灯を手に舞鶴港の崖の上を巡回していた。

すると、コートを羽織った男が海の方を向いて電話しているのが見えた。怪しいと思った倉田は、腰につけた警棒と銃がぶつかってカチャカチャと音を鳴らしながら、小走りで男に近寄る。


「君ー!そんなところで何をしてるんだー!?」

叫ぶと、その男・笹浦は振り向き、慌てて足元に置いてあったバックを取って走り出す。

「待ちなさい!」

笹浦は柵を越えて逃げていく。明らかに不審者だと思った倉田も柵を飛び越え追いかける。



崖の上を走り、追いついた倉田は笹浦のカバンを持つ手を掴んだ。

「離せ!」


笹浦は力づくでカバンごと倉田の腕を振り払ったその瞬間、体勢を崩し足を滑らせ崖から落ちた。倉田が咄嗟にコートを掴むも、コートが脱げて笹浦はそのまま海に落下していった。






松田side


「イージス艦の情報を竹川に渡した直後で、とっさに逃げたんでしょうな・・・」

倉田は苦しそうな顔で「そんなことは知らなかった」と首を横に振る。


「慌てて崖を下りて海に落ちた男を探そうとしたら、あの不審船を見つけてしまい、それからは本部に通報したり海自に連絡したりで忙しくなって・・・そんな時に、このイージス艦で笹浦一尉の腕が見つかったという通報を京都府警から受けて、慌てて海に落ちた男の私物を調べました。それで、不審な行動を取っていた男が、笹浦一尉だと知りました。
業務上過失とはいえ、自衛隊員を死なせてしまったことに恐怖して・・・・それで上司に頼み込んで、この事件の捜査本部に入りました」

「どうしてそんなことを」

「このイージス艦内で殺された可能性があると知ったからです。それならば本当にそうしてしまえば罪を免れると思い、捜査のフリをして彼の携帯を見つかりやすい甲板に・・・・その後は皆さんが知っての通りです」

綾小路が倉田に歩み寄り手錠を取り出すと、倉田は軽く頷き再び前を向いた。


「自分の身勝手な行為が捜査を攪乱させてしまい、本当に申し訳ございませんでした」

深々と頭を下げる倉田に手錠をかけた京都府警はそのまま連行していった。







これで解決したんだろーけど、なんかヘンなんだよな・・・・



俺は忘れていなかった。

Xを追っている最中に、ガキと女が不安な顔をしているのを。





そしてその嫌な予感は的中した。

FILE.50 絶海の探偵→←設定



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セカイ(プロフ) - 未零♪mirei♪さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2023年5月1日 23時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - まみこさん» コメントありがとうございます!恋人篇、絶賛更新中ですのでよかったらご覧ください! (2023年5月1日 23時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - エリザベス女王さん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2023年5月1日 23時) (レス) @page13 id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
未零♪mirei♪ - これからも、頑張ってください! (2023年1月4日 15時) (レス) @page4 id: 1f9aff915a (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 再会編完結おめでとうございます、これからも頑張ってください! (2022年8月16日 10時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セカイ | 作成日時:2022年7月21日 0時

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