FILE.384 裏切りのホワイトデー ページ9
「じゃあまさか毒は・・・・」
目暮警部が尋ねると、「ええ」と毛利さんが返事をした。
「あの時、テーブルの上に載っていたものの中で、それを確かめるのにうってつけなのは、奥さんが飲んでいたアイスレモンティーのグラスに付いていたレモン。奥さんは前もって果肉の一角をくり抜き、そこへオブラートで包んだ毒薬をはめ込んだレモンを用意していたんですよ。社長が口に含んだ時に、毒が口の中で溶け出すように・・・・」
奥さんは、毒を仕込んだレモンを何かに包み、懐に忍ばせて会場に入り、手に取ったアイスレモンティーのレモンと毒のレモンをスリ替え、元のレモンは紙ナプキンに挟んで隠し、毛利さんのスピーチを待った。
そして、例の言葉で毒を口にして倒れた社長の口から、素早く毒のレモンを抜き取って隠し、皆の視線が社長さんに集中している隙に、元のレモンを再びグラスに戻した・・・・というのが、毛利さんの推理だった。
「そうすれば、後で警察がやって来て調べられても、テーブルの上からは何も毒物は発見されませんからね・・・・違いますか？」
皆の視線が奥さんにそそがれるが、まだ余裕があるのか奥さんはフッと笑った。
「さすが名探偵・・・・でも、主人が私のグラスからレモンを取って口にしたなら、誰かが見ていると思いますけど？」
「いいや、誰も見ちゃいないでしょう。社長自身がその行為を誰にも気付かせないように注意していたはず。酸味が平気になっているところを誰かに見られたら、驚かせることが出来ませんからね。
だが、奥さんが元のレモンを紙ナプキンに挟んでいた証拠なら、鑑識さんに確保してもらっています。さっき私が煙草をわざと飛ばして焦がした紙ナプキンがそれです！」
目暮警部が鑑識に本当どうか尋ねると、袋に入った紙ナプキンを見せてきた。
「その紙ナプキンをよーく見てください。真っ直ぐ伸びた焦げ目が、途中から丸く円形になっているでしょ？それはレモンがそこにあったという証拠。炙り出しの要領で、そこだけ焦げやすくなっているんですよ！」
FILE.385 裏切りのホワイトデー→←FILE.383 裏切りのホワイトデー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1905人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます！これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (
レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セカイ | 作成日時：2024年3月10日 14時
