検索窓
今日:563 hit、昨日:857 hit、合計:83,840 hit

FILE.406 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指 ページ31

「それに、Aがテープを調べるっつったのは、ワカメになっているかどうかじゃねェ。指輪がはまっていた左手中指のつけ根に血が付着していて、何故か一ヶ所途切れていた。

だから、アンタが持ってるテープのどれかにあるはずだぜ。密室の綱渡りに使われた、諸口の血の付着したテープがな」



全てを見破ると、出島さんは開いた口が塞がらなくなったまま、その場に立ち尽くした。


「で、出島くん・・・」

「お前、まさか・・・秋場のことで・・・・・」



二人が声を掛けると、出島さんは「・・・・綱渡りか」と口を開いた。

「秋場もよく言ってたよ。諸口先生との付き合いは、綱渡りの連続だってね・・・」

「綱渡り?」

「秋場は大人しい男だったんですが、先生の担当になってからいつもどこか包帯を巻くようになった・・・・何故だと思います?先生に言われて試していたんですよ。先生が考えた殺人トリックが、本当に出来るかどうかを自分の身体で・・・・」

『「え・・・?」』

「もちろん、本当に死なないように細心の注意を払ってね」

「オ、オイ!じゃあまさか、秋場が密室で死んだのって・・・・」

「ああ。秋場の会社の机の遺品整理をしてる時に見つけたよ。秋場と全く同じ死に方が書かれたトリックノートをな!!」

『だったら何でそれを警察に出さなかったの!?』



過去のことを問い詰めても何も変わらない。それはわかっている。だけど、そう言えずにはいられなかった。




「無駄ですよ・・・問い詰められても、先生は”秋場が勝手にやったこと”って言うぐらいです」

「で、でも事故は事故でしょ?」

「いや、先生は別のインタビューでこう言っていましたよ。”この歳になって、最近ようやく殺人者の気持ちがわかってきた。推理作家にとって、この上ない喜びだ”ってね・・・・それで僕は確信したんだ。先生が秋場を利用して知りたかったのは、リアリティーじゃなく、殺人者のメンタリティーだったんだなってね・・・・・・」

FILE.406 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指→←FILE.405 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1905人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます!これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:セカイ | 作成日時:2024年3月10日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。