FILE.400 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指 ページ25
『それで？そのジサツした秋場さんっていう方は？』
「彼は、私の前の先生の担当編集でした・・・・先生曰く、資料写真探しからトリックに関する専門知識の調査と収集など、骨身を惜しまず尽くしていたそうです。それこそ、命が尽きるで・・・・・」
「秋場は鍵を閉め切った密室の中、自宅でジサツしたそうっスよ」
「それなのに、先生は秋場の死を題材にして一本書こうとか考えていたらしいですけど・・・・」
「それは私が止めました。彼の死は出版業界に結構知れ渡っていて、そんな小説を発表されたら格好のゴシップ記事のネタにされてしまうと思いましたので・・・・・ただ、”ゴシップはゴシップ、事実じゃない。それに、編集者秋場に捧ぐとか銘打てば、逆に売れたと思わないか”と、提案されましたけど・・・・・」
『そ、そうなんですね・・・・』
この事件、秋場さんの死と関連してそうだけど、諸口さんって結構ヤバイ人だったのかもしれないわね・・・・
なんて考えていると、「あのー、黒羽刑事・・・・」と蘭ちゃんがおずおずと小声で話しかけてきた。
『どうしたの？』
「事件とは関係ないんですけど・・・・・」
『うん？』
話しを聞こうとした瞬間、インターホンが鳴った。
『あ、きっと鑑識さんかも。ゴメン蘭ちゃん、後でいい？』
「は、はい・・・・」
左手を上げて謝ると、蘭ちゃんは少し顔を赤らめた。
『え？本物？あの指輪は本物だったんですか？』
「はい・・・すぐに署に持ち帰って鑑定士さんに見てもらったので、間違いないです」
到着した鑑識に指輪のことを尋ねると、そう返答された。
じゃあ、犯人の目的は指輪じゃなかったのか・・・・だったら何で？どういう理由で、犯人は指輪を外したの？
「そういえば、指輪を外したら妙な跡がついていました」
『妙な跡・・ですか？』
「はい。ココのところなんですが・・・・」
鑑識は、遺体の手を掴んで少し上げた。
「かなり掠れてしまっていますが、丸く輪になって黒くなっています。コイツは血の跡です」
『血って・・・どうしてこんなところに？』
「多分、髭を剃った時にザックリやっちゃって、そこを触ったんだと」
鑑識は遺体の顔をこちらに向けながら、「ホラ」と呟く。
「右顎の下に切った跡がある。間違いない。ちなみに、コーヒーカップやその受け皿、コーヒーメーカー、ドアノブからはこの遺体以外の指紋は出てきませんでした」
『そうですか・・・・』
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セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます！これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (
レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セカイ | 作成日時：2024年3月10日 14時
