FILE.397 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指 ページ22
松田side
遺体に近付いて指にはめられてる指輪を見ると、100という文字が指先の方に向いていた。
「た、確かに・・・・」
「このおじさん、すっごく神経質でそんな間違いするワケないと思うんだ。それにこの指輪って・・・・」
ボウズはそう言うと、手の甲を表に向けた。
「こんなにダイヤがついてるんだよ?」
「なるほどな・・・ってことは、やっぱり殺人かもしれねェな」
『「え?」』
俺の声にAとおっさんが声を漏らす。
「殺人の目的はこの指輪だったかもしれねェってことだ。殺害した後、指にしていた本物を偽物にスリ替えた時に、慌てて向きを逆にはめたってこった」
『諸口さんがこの指輪を外したことは?』
「いえ、ありません・・・とても気に入られていて、入浴される時も床につかれる時もずっと付けたままだとおっしゃってました」
「だとしたら、これは殺人の疑いが強くなったが・・・・」
『もう一つ新たな謎が浮上しましたね・・・』
そう、犯人が指輪をスリ替えられるのは、諸口が死んだ後。当然犯人はそん時この部屋にいたことになる。
だったら犯人は、どうやってこの鍵のかかった部屋から脱出したんだ?諸口の手に鍵を置いたまま、どうやって・・・・
―――――――
「ホントにあの指輪、松田のじゃねェのか?」
―――――――
・・・・・それとも諸口を毒殺した後、この鍵を持って部屋を出て鍵をかけ、外部から何らかの方法で諸口の手の中に鍵を戻したっていうのか?
開いていたのは、ガキが通れるくらいの換気窓のみ・・・あそこから遺体の手の位置まで4メートル近くある。こんなに離れてるのに、そんなこと出来るワケが・・・・・
―――――――
「気にならない?ゆ・び・わ!!」
―――――――
クッソー!事件に集中してェのに、さっきからチラついて全然集中出来ねェ!!
・・・・まあ、そっちもそっちで事件だけどよォ。
その時、携帯が鳴った。画面に表示されてる名前を見て、出なくてもいいかと思い無視するが、何度も何度もかけ直してきた。今それどころじゃねーってのに・・・・
「何だよ」
<あっれ〜?何かすごい不機嫌だね、じんぺーちゃん!>
「気付いてるんだったら、わざわざ口に出すんじゃねーよ>
電話の相手・萩は笑いながら<ゴメン、ゴメン>と謝ってくる。
ぜってー思ってねェよ、コイツ。
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セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます!これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年3月10日 14時