FILE.395 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指 ページ20
『でも、こうは考えられません?朝、諸口さんを起こしに来た誰かが、青酸系毒物を混ぜたコーヒーを入れてベッドの横に運び、急いでくださいとせかして鍵を持たせ、部屋を出て行ったとか・・・』
「それもないな。もしそうなら、その誰かは諸口さんが毒入りコーヒーを飲む前に部屋から出て行き、諸口さんに鍵を掛けさせなきゃならないという無理が出る。出されたコーヒーをすぐに飲むかどうかはその人次第だが、さかされてたんなら・・・・まぁ飲んじまうだろーからなァ」
「でも実はガイシャは猫舌で、熱くてすぐに飲めなかったなんてことは―――――」
その時、「それはありません」と誰かが割って入った。振り向くと、ドアのところに女性が1人と男性が2人立っていた。
「諸口先生はコーヒーがお好きで、熱くてもぬるくてもそれはそれで美味しいと言っておられましたので・・・・そうだったわよねぇ?」
「あ、ああ・・・・」
「編集部じゃ有名っスよ!」
「んで?アンタらは?」
「私は諸口先生の担当をしている編集の穴吹です。後ろの2人は、右がカメラマンの垂水くん。左がライターの出島くんです」
「じゃあアンタらも対談企画のために、昨日からこの別荘に来てたのか?」
「ああ。毛利さん達と一緒に・・・・」
「流石に朝5時前にここに来るのはキツイっスから・・・・」
3人の素性がわかっても、私はまだ殺人の可能性を捨てずにはいられなかった。それに・・・・
『けど、変ねぇ・・・・』
「ん?」
『密室だったのなら、ドアを破ったり窓を割って中に入るのに、そんな跡はどこにもない・・・・どうやって中に?』
「ああ、そりゃあ・・・・このガキだよ!!」
「コナンくんがそこの換気窓から入って、内側からドアの鍵を開けてくれたお陰で、わたし達も部屋に入って、それで諸口さんが亡くなっているのを見つけたんです」
毛利さんに首根っこ掴まれたコナンくんを見て、納得してしまった。
うん、彼ならやりそうね・・・・
「じゃあ、あの窓は開いてたんだな?」
「うん。そうだよ」
『でも、子供がやっと通れる幅しかないようね』
「仮にジサツだったとしも、どうして鍵を手にしてたんだ?」
「そいつもしかしたら、この別荘にいた俺達に殺人の疑いをかけさせたくなかったのかもしれねェな。さっきも言ったように、もしこれが殺人なら”鍵を持ったままドアを閉めて、コーヒーを飲んでくれ”とでも言わないと、この状況は作れねェからな・・・・」
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セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます!これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年3月10日 14時