FILE.394 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指 ページ19
蘭ちゃんから連絡を受けてたわたし達は奥多摩へと向かった。何でも今日の朝、毛利さんが被害者と対談するために、昨日から被害者の別荘を訪れたていたらしい。そこで事件に巻き込まれたというワケだ。
「亡くなったんは推理作家である諸口益貴、52歳。死因は青酸系毒物を飲んでの窒息死だ」
松田の報告を受けながら、私は被害者の様子と周りを観察する。被害者が倒れているベッドの横には、コーヒーカップが落ちていて、床にはコーヒーが広がっていた。
「口の周りについてるコーヒーからみて恐らく・・・・」
『コーヒーに青酸系毒物を混ぜて飲んだか、あるいは飲まされたのかのどちらかね・・・・』
「飲まされたってのはないんじゃないか?」
『え?』
毛利さんが私の発言に疑問を覚えたのか、口を挟んできた。
「この部屋のドアも窓もしっかり鍵が掛かっていて、まさに密室じゃないか!さらに、諸口さんが手にしているのはこの部屋の鍵で、合鍵もなし。―――とくりゃあ、もうジサツしかねェだろ?」
「そうか?予め誰かがコーヒーカップに青酸系毒物を仕込んでおけば、密室での犯行は可能だ。ただ、ガイシャが朝起きて、コーヒーを飲むことを知っていたという前提だが・・・・」
「バーカ!普通、鍵を持ったままコーヒーなんか飲まねェだろ?もちろん、毒入りコーヒーを飲まされたと気付いた後に、咄嗟に掴むのもまず無理だ・・・・だから多分、あの鍵は毒を飲む前に自分で持って示した何かのメッセージ・・・・」
「バカはオメェだ。ジサツするヤツがメッセージなんか残すかよ」
「あん?」
何かコレ、止めないとマズイ感じかしら・・・・
よくわかんないけど、松田がイライラしてるように見えるし・・・・
「それに、ガイシャは今日の朝、アンタと対談する予定だったんだよな?」
「あ、ああ・・・・」
「だったら、寝坊して慌てて鍵を持ち、眠気覚ましのコーヒーを飲んだってことも・・・・」
「―――ったく、よく見てみろ!コーヒーカップが落ちていたのはベッドの横!コーヒーメーカーがあるのは入口近くにあるキッチンだ・・・慌ててたんならキッチンでコーヒーを入れて、その場で飲んでんじゃねーか?わざわざ受け皿に乗せて、ベッドまで運んで飲まねェってーの!」
ベットサイドの小さなテーブルには、受け皿が置いてある。毛利さんの言う通りかもしれないけど・・・・
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セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます!これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年3月10日 14時