FILE.392 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指 ページ17
松田side
「何でAは機嫌がいいんだ?」
「知るか」
んなの俺が知りてェよ。
班長にぶっきらぼうに答えていると、突然鼻歌が止んで『ん?何?』とAが振り返った。Aの声に野郎どもは話を止めて言葉を詰まらせ、目暮までもが「ん?」と反応する。
『私の顔に何かついてます?』
「あ、いや・・・・」
『じゃあ、何なんですか一体?』
目暮は自分にあてられたものじゃないと判断したのか、電話を再開した。
『人を見てはヒソヒソ、コソコソ・・・・してますよね!私に何か!?』
「別に・・・」
「何も・・・・なァ?」
「あ、ああ・・・・」
「「ハハハ・・・・」」
Aが別の方に視線を向けると、そっちでもハハハ・・・・と愛想笑いをし出す。そしてほぼ全員が笑い出し、ガヤガヤしだした。
『何なのよ、もう・・・・』
Aは訝し気に野郎どもを見ると、野郎どもは散っていった。中にはまだ話しているヤツらもいるけど。
『で?一体何を隠してるワケ?』
気が付くとAは前のめりになって、俺の顔を覗き込んでいた。
「・・・別に何も隠してねェよ」
『ホントにィ?』
「ホントホント・・・・」
そう答えると、Aはぜってー腑に落ちていないんだろーが、姿勢を戻して席についた。すると、班長が「こっち来い」と手招きして、給湯室へと移動した。
「で?何があったんだ?」
「あ”?」
「あ”?じゃねェよ。ぜってー何かあっただろ」
班長のことだ、ぜってー俺が吐くまで訊いてくるに決まってる。俺は深く息をつくと、「アレだよ」と顎で指した。
「アレ?」
班長が振り返ると、Aは誰かと電話をしだした。
『蘭ちゃん!どうしたの?』
「ホラ、Aの指に光る・・・・」
「ん?」
「あの指輪・・・・」
Aの指には一つ指輪がはめられていた。アクセサリーをつけないあのAに指輪だ。
「指輪って・・・左手の薬指にしてるってことは・・・・松田、ついにやったのか!?」
「やってねェよ!!」
食い気味に答えると「ええッ!?」とデケェ声で驚かれた。しかもさっきの野郎どもも一緒に。っていうか聞いてたんかい。
「だって、薬指にしてるってことは婚約だろ?オメェじゃねーのかよ!」
「違ェよ!!」
「ど、どういうことだ?」
「それはこっちが聞きてェよ」
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セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます!これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年3月10日 14時