FILE.391 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指 ページ16
ある日、廊下を歩いているとすれ違う人ほぼ全員に顔をガン見される。それはほとんどが男性。
捜査一課はむさ苦しいところだし、私と佐藤さんを除けば後は全員男性。そのせいかどうかわからないが、廊下を歩いていると顔を見られるのは最早日常。もしかしたら、宮本さんが言っていた私が有名人だからかもしれないけれど。
とはいえ、顔を見られること自体今更何とも思わないが、今日は特に視線を感じる。
捜査一課に向かうためにエレベーターに乗ろうと雑談をしている刑事の後ろに立つ。エレベーターを待っていると、刑事は振り返るなり驚いた顔をされた。
不思議に思っていると、エレベーターが到着した。周りは男性刑事しかおらず、隣の人と目が合うと、バツが悪そうな顔をして視線を逸らされた。反対隣の人も目が合うなり顔を俯かせる。
捜査一課があるフロアに到着すると、私だけが降りた。真っ直ぐ歩いていくものの、後ろから突き刺さるような視線を感じて、振り返る。すると、慌てて全員がそれぞれ違う方向を見て、エレベーターの扉が閉まった。
何か感じ悪いな・・・・・でも、まあいいか。
気になるけどただ見てくるだけだし、と思い直し捜査一課の部屋へと足を向けた。
松田side
―――捜査一課 強行犯捜査3ー9係 強行犯捜査1-2係
ほとんど野郎どもしかいないこの部屋は、いつにも増してざわざわと野郎どもの声がひしめき合っていた。
「なーんか、今日はやけにざわついてんな」
「・・・・ああ、そうだな」
班長に声を掛けられ、俺はテキトーに返す。
「そういう松田は今日機嫌悪りィな」
「あ”?んなことねェよ」
「あるだろ。まさかAと何かあったのか?」
Aの名前が出ると俺は班長を睨みつけた。それと同時に野郎どもの声が一瞬ピタリと止んだ。
「な、何だ・・・・?」
その時、ガチャリとドアが開く音がした。入ってきたのはAだった。Aは真っ直ぐ自分のデスクに向かうと、デスクに置いてあったファイルを手に取り、後ろの戸棚に仕舞いだした。
『ふふふんふ〜ん♪ふふふ〜んふ〜んふふ〜ん♪』
「な、何か鼻歌歌いだしたぞ・・・?」
「・・・俺に聞くな」
Aが鼻歌を歌いだすと、野郎どもはヒソヒソと話し出す。それに比べて目暮は誰かと話していて、こっちの様子には気付いていないようだった。
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セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます!これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年3月10日 14時