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微妙な空気が流れたまま、本庁の駐車場に到着した。


ホワイトデーを知ってるかどうか以前に、松田の中ではあれはノーカンだったということにびっくりして、もうお返しとかどうでもよくなっていた。



車を降りようとすると「ホント、悪りィ」と謝られた。

『もういいって。見返りなんて―――――――』


”期待してない”という言葉は口から出ることはなかった。





それもそのはず。松田によって塞がれたのだから。







瞬きをすると唇が離れていく。呆然と松田を見つめていると、さっきまで触れ合っていた松田の唇がゆっくりと弧を描いた。




「お返し。これで許してくれよ」

『・・・・・へ』




一体何が起こったのか、理解するまでにそんなに時間は掛からなかった。



『・・・・・人が話してる最中に遮ってしてくるの、ホント好きねぇ』

「だってそーでもしねェと、Aさせてくんねェじゃん」

『なっ・・・・!』



いきなり何を言い出すんだ、コイツ。その言い方だと、まるで私がするの嫌みたいな・・・・いや、好きとか嫌いとか、したいとかしたくないとかそういう問題ではない。


松田は私の反応を見て楽しんでるだけ。29になってもホントそういうところ変わらないし、敵いそうにない。前、私も試してみたけど、返り討ちにあった。




そっぽを向くと「で?」と顔を覗き込んでくる。

「返したけど、これでいいか?」

『・・・・・・・・い、いいわよ』



縮こまりながら小声で呟くと、松田はニヤッと笑う。やっぱり敵わないや、この男には。


してやれた感はあるが、これでこそ松田陣平という男なのかもしれない。




形はどうであれ、やっぱりお返しがくるとこっちの想いが届いたみたいで、嬉しくなる。チョコよりも甘いお返しをもらった私はフッと微笑んだ。

FILE.391 本庁の刑事恋物語8 左手の薬指→←FILE.389



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セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます!これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セカイ | 作成日時:2024年3月10日 14時

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