捜査一課の黒羽さん 9【名探偵コナン】

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信号に差し掛かるとちょうど赤に変わった。ふぅ・・・と息をつくと「疲れてんの？」と尋ねられた。


『まあ・・・・そうかも』

「ま、何かボーっとして、道間違えたくらいだもんな」


どっちかって言うと、疲れてるより松田のことを考えてたんだけどな。でもなぁ・・・松田のことだから面と向かって言わないと、本人が気付きさえずに今日が終わるような気がする。



私は意を決して『あのさぁ・・・』と口を開く。

『何かないワケ？』

「は？」

『・・・・今日、ホワイトデーなんですけど』




予想通りの反応に若干がっかりしつつ、ん！と手を差し出すと、「ああ・・・・」と声を漏らした。

「言われてみりゃ、庁内でも見たなァ」

『見たなァ・・・・じゃなくて、何もないの？』

「・・・・何もねェよ。第一もらってねェし」

『・・・・・・は？』




まさかの発言に言葉を失ったものの、すぐに正気を取り戻し、『はあああぁぁっ！？』と大声を上げる。

『食べたじゃない！チョコ！！』

「は・・・・？い、いつ？」

『2/14！バレンタイン当日の夜！！』



たじろぐ松田に『覚えてないの？』と問い詰めていると、信号が青に変わった。車を発進させると松田はブツブツ言いながら、思い出しているようだった。



『その日の帰り、陣平の家に寄ったはいいけど、電話が掛かってきて私、少し席を外したでしょ？その時テーブルに何か置いてなかった？』

「電話・・・・テーブル・・・・？」

『アレ、一応バレンタインのチョコだったのよ。勝手に食べたけど・・・・』

「あ、アレそうだったのかよ！？」

『そうよ！！』



思い出したのか、しまった・・・・みたいな表情をしているが、時すでに遅し。いや、遅すぎるわ。



『正確に言えばあげてはないけど・・・・もともと陣平あげる用だったし、食べてもよかったんだけどさ。まさか勝手に食べられるとは思いもしなかったけど』

「それは・・・・悪りィ」

『別にいいわよ・・・もう。あの時、ちゃんと言わなかった私も悪いからね』

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