FILE.377 裏切りのホワイトデー ページ2
「・・・・だとしたらとても残念ですわ。私は酸味で主人は甘味のプロ。お互い得意の分野で道を極めましょうということで、納得してくれたと思ってましたのに」
「そういえば私の友達が言ってました。社長さんも奥さんもお菓子コンクールで優勝してるって・・・・」
「いえ、主人はそうだけど・・・・私は2番目、優勝はしてないわ」
「え?でも・・・・あれ?」
蘭ちゃんが慌てふためくと、「それより私の身体検査をなさるなら、早くしてくださらない?」と奥さんは目暮警部に詰め寄った。
「え?」
「主人に毒を盛った犯人がいるのなら、すぐ隣にいた私以外考えられない。だとしたら、今もまだ毒を所持していた証拠を持っているかもしれませんでしょ?」
「ええ、まァ・・・・」
「でも検査する部屋は、あの奥の扉の先にあるスタッフルームにしていただけると助かるわ。どうせ会場の入口の扉の前には、事件を聞きつけたマスコミが押し寄せているでしょうから。そこへ私が刑事さんに連れられて出て来たら、まるで連行されているようにとられかねないので・・・・」
奥さんの圧にしてやられたのかしてやられたのか、目暮警部は「そ、そうですなァ・・・・」と答えた。
にしても、この奥さん・・・・・
「横暴だな」
『・・・ね、私も同じこと思った。それに、自分が容疑者から外されたいため、敢えて言い出した・・・・とも考えられるわよね』
「だな、結局一番怪しいのはコイツだし」
奥さんを見つめながら松田と話していると、「じゃあ黒羽くん、頼む!」と目暮警部に声を掛けられた。返事をして歩き出そうとすると、「A」と松田に小声で呼び止められた。
「アイツの動き、一切見逃すんじゃねェぞ」
『わかってる』
奥さんに近付いて『行きましょう』と声を掛けて、さっき指定していたスタッフルームへと連れて行く。
その道中、奥さんはバランスを崩したのかよろけた。そして、たくさんのグラスが乗っているテーブルに身体が当たり、グラスがいくつか床に落下した。グラスは割れて中身がレモンや中に入っていた液体が散乱した。
『大丈夫ですか?』
「痛たたた・・・こんな高いヒール履いて来なければよかったわ・・・・」
『肩、お貸ししましょうか?』
「大丈夫・・・ちょっと、くじいただけだから。さっさと済ませましょ?」
奥さんは私の手を掴んで立ち上がると、スタッフルームへと歩き出して行った。
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セカイ(プロフ) - 月見だんごさん» コメントありがとうございます!これからの恋愛模様もお楽しみください✨ (3月22日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - とても面白かったです✨更新楽しみに待ってます😆 (3月21日 8時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年3月10日 14時