FILE.334 黒鉄の魚影 ページ9
「・・・・・黒羽刑事の言う通り、関係があることは確かだよ。2人がアイツを助けようとしてくれた時、いずれ訊いてくるんだろうなと思ってた。でも・・・・・巻き込むワケにはいかない」
『巻き込むか・・・・・もしかして君が言う”組織”が関わっているから?』
「そ、それは・・・・・」
「オメェ、あの時言ってただろーが。”ヤツらに関わらないで欲しい”って。ホントはAに俺がオメェの正体を知っていることを伝えないままでいようと思ったんだけどな・・・」
『陣平がひょんなことから口を滑らしてね・・・・』
ジロッと睨むとハハハ・・・と苦笑される。
『わたし達はその組織が危険なことぐらいしかわからない。君が関わって欲しくないと思っているのも理解できる。でももし、その組織がエンジニアの拉致事件に関わっているとしたら話は別。わたし達は捜査をしなければならないからね。それは君もわかっているでしょ?』
工藤くんは俯いてしばらく考えると「わかった」と顔を上げた。
「2人に話すよ。2つの関係性を」
訊かされたのは想像を絶することだった。
哀ちゃんは工藤くんの身体を小さくした組織の科学者だったこと。だけどワケあって身体が小さくなってしまったこと。今は組織の追跡を逃れて生活をしていること。
「組織のヤツらは逃げ出したアイツを追っている。そして侵入事件と拉致事件の犯人は組織のヤツらだ。その目的は黒羽刑事が言った通り”老若認証システム”。そのシステムを使ったとしたら――――」
『哀ちゃんの正体がバレてしまった・・・・』
「だから誘拐したってことか」
「恐らくね・・・・・」
「ってことはオメェの正体も―――――」
「・・・・うん」
『一刻の猶予もないってことね』
今はまだ工藤くんの正体はバレていないようだけれど・・・・・・
「俺は何としてでもアイツを助ける。そう決めたんだ。2人は表から、俺は裏から組織を叩く。そして事件を解決させる。危険なことは承知の上だけど、2人の力を借りたい」
『わかったわ』
「いいぜ」
「2人とも・・・ありがとう」
工藤くんは決意のみなぎる表情で差し伸べた手をそれぞれ掴んだ。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時