FILE.333 黒鉄の魚影 ページ8
阿笠さんが席を外してから『早速だけど』と声を掛ける。
『これから言うことはわたし達の推測にすぎない。それでもコナンくん・・・・・いや工藤くんに訊きたくて』
”工藤くん”と言い直すと、彼の眼鏡の奥の目が鋭くなったような気がした。
『君と阿笠さんが戻ってくる間に白鳥くんに確認したんだけど、君、今日パシフィック・ブイの中にいたんだってね。だから、エンジニアが拉致された事件のことは一通り知ってるんだよね?』
「・・・うん」
『それと、フランクフルトの侵入事件と哀ちゃんが誘拐された事件。この3つには何か関係していることがあるんじゃないかなって思うの』
「それはどうして?」
『まず、拉致されたエンジニアが作った”老若認証システム”。犯人の真の狙いはそのシステムだと思ってるの。だから、事件が起きたのがヨーロッパと繋がる今日だった』
「次にガキの誘拐。俺達が対峙した謎の男2人とスナイパー。誘拐だけならスナイパーなんて普通雇わない。裏を返せば、スナイパーを雇う必要があるほど、あのガキを誘拐する何かがあるってことだ。それに潜水艦。潜水艦何てそうそう用意できるモンじゃねェ。それを用意するってことは単独ではなく組織の可能性がある」
『”老若認証システム”と哀ちゃんの誘拐・・・・・この2つには何か関係があると違う?』
工藤くんは少し間をおいてから「・・・・・それを知って2人はどうするつもり?」とわたし達を鋭い目つきで見てくる。
『わたし達にはね、犯人を捕まえて事件を解決する力がある。それに・・・・・2人を助けたいの。もし君が何かを知っているなら教えて欲しい。いつも君は助けてもらってばかりいる。だから今度はわたし達が・・・・・・・』
手を差し伸べて工藤くんを見据える。
『「君の力になりたいの/オメェの力になりたいんだ」』
工藤くんの瞳が一瞬揺れたような気がした。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時