FILE.331 黒鉄の魚影 ページ6
気持ちを入れ替えるために、ふぅ・・・と一呼吸してから顔を上げる。
『蘭ちゃん、ゴメンね。少し気が動転してたみたい』
「いえ、大丈夫です！」
『ありがとう。ねぇ、毛利さんにも伝えたいから部屋に案内してくれる？』
「わかりました！」
毛利さんがいる部屋に入ると、ぐーすか気持ちよさそうに寝ていた。蘭ちゃんは寝ている毛利さんに「お父さん、起きて！大変なの！！」と身体を激しく揺すると、目がパチッと開いて「蘭、頼む」と口を開いた。
「もう一杯！」
『「え」』
毛利さんはニカッと笑うと再び寝てしまった。ね、寝ぼけてる・・・だけ・・・？
蘭ちゃんはその様子を見てわなわなと震えだし、「もおっ！！」と毛利さんのみぞおちにパンチを撃ち込むと「ぎえええぇぇ！！」という声が響き渡る。わたし達は顔を見合わせてハハハ・・・と笑うしかなかった。
一度部屋に戻ったわたし達は、館内着からスーツに着替え、身支度を整えた。
「まさか、こんなことになるとはな」
『うん・・・・』
拳を強く握り締めると「A」と名前を呼ばれ、手を包み込んできた。
「まだ希望はある。可能性は0じゃねェ」
『陣平・・・・』
「今は俺達に出来ることをするまでだ。だろ？」
『・・・うん、そうだね』
手を離され、ドアに向かって歩いてく松田に『ねぇ』と呼び止める。
『あのさ・・・・私の思い過ごしかもしれないんだけど、聞いてくれる？』
「ん？何だ？」
『フランクフルトの侵入事件とエンジニアの拉致事件、それに哀ちゃんが誘拐されたこの3つの事件・・・・・何か関係していることがあるんじゃないかなって思うの』
「まさか」
『確証があるワケじゃないんだけど・・・・・あの子なら何か・・・知ってる気がする』
「あの子って・・・・・」
『江戸川コナンくん・・・・・・いや、工藤新一くんというべきかな。彼なら何か、わたし達が知らない何かを掴んでいる気がするの』
「・・・・・Aの思い過ごしだろ？」
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作者名：セカイ | 作成日時：2024年2月3日 19時
