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『・・・・ホントわたし達って、似た者同士なのかも』
顔を窓に向けたまま呟くと、耳に届いていたのか「あ?」と言われた。
『千速さんが参加してた婚活パーティーの事件あったでしょ?』
「あー・・・んなことあったような・・・」
『私が被疑者のナイフを掴んで、ジサツするのを阻止した時に言われたのよ。”こうと決めたら突っ走るだろ。直観的に危険な矛先を自分に向けて、大切何かを守り抜く。似てるのは私じゃなくてアイツの方だったようだな”って。
その時は意味がわかんなかったけど、こうしてお互いのことを比べてみて思ったんだよね。似てるなぁ〜って』
「・・・・言われてみればそーかもな。案外、当人達じゃそういうのわかんねェし」
『そういうのって、人から言われて初めて気付くモンよね。ってことは・・・・・私も問題児として見られてたのかな』
「は?何が?」
運転する松田に視線を移して『警察学校の時よ』と言うと、横顔でもわかるくらい顔をしかめた。
「”私も”って・・・・・俺が問題児だったって言いてェのかよ」
『そうよ。初っ端から拳銃解体するわ、教官につっかかるわで・・・・・どっからどう見てもそうだったでしょーが』
「・・・・・んなこともあったなァ」
ま、7年も前のことを覚えているのは、強烈な日々を過ごしていたからだろうな。
『それに陣平だけじゃなくて、あの4人も似たようなモンだったけどね。それぞれが強烈な個性を持っている上に固まっていることが多かったから、私もそう見られてたんじゃないかな〜って』
「見られてたんじゃないかじゃなくて、見られてたぞ」
『あ、やっぱり?ってなると、すっごいクセ者ぞろいで教官大変だったろうな・・・・』
「あー・・・あの鬼公か・・・・・」
松田は教官のことを思い出しのか、ハハハ・・・と苦笑した。
そんなことを話しているうちに、さっきの合コンでのギスギスした感じは一切なくなっていた。時々笑い合いながら、あの時こうだったよねと昔話をし続けた。
本庁に着くまでの間、さっきまで静けさで溢れ返っていた車内とは打って変わって、お互いの声が止むことはなかった。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時