FILE.371 本庁の刑事恋物語7 ページ46
松田side
「しかし、よくわかりましたね。犯人が六田さんって・・・・」
「江本に送られてきた郵便物の中で、予めその価値がわかっていて、あとで忍び込んで盗めるモノつったら、宝くじだけだからな・・・・」
『だったら、どうしてそれを私に言わないのよ!』
Aに詰め寄られ「あ、いや・・・」と言葉を濁したものの、真っ直ぐAを見つめた。
「ホントに推理が合ってるかどうかわからなかったから、とりあえず確かめてみようと思ったんだよ。手遅れになる前にな」
そう言うとAは一瞬目を丸くしたが、すぐにいつもの顔に戻って立ち上がり、『じゃあ、目暮警部。後はお任せします』と言って歩き出した。
お、怒ってる・・・のか・・・・・?
すると、目暮が咳ばらいをして「あー、黒羽くん!」と引き止めた。
「まだ記憶が新しいうちに本庁に行って、報告書を書いてくれ」
『え?・・・・あ、はい』
「松田くん、君もだ。わしはここで捜索令状を待たねば・・・・わしの車を使え。酒は?」
「・・・入れてないっスよ。ソフトドリンクだったんで」
「じゃあ、運転できるな。それと、毛利くん達もついでに届けてやってくれ」
「あ、ああ・・・・」
おっさん達を探偵事務所に届けた後、車内は静まり返っていた。さっきまでは、何かを察したボウズが取り持ってくれてたが、やっぱり2人きりになると会話は一切なくなった。
Aはずっと頬杖をついて窓の外を見ているから、表情がわかんねェ。時々窓に反射して、何となくはわかるが、きっと怒ってんだろうな。
「・・・・わるかったな」
『何?謝んなきゃならないことでもしたワケ?』
「だって怒ってんだろーが」
『へー、そう見えるんだ』
「あー・・・合コンのことか?だったら、ホントに千葉に―――――」
『わかってるよ。どーせ、千葉くんに頭数足りないって言われて、断れなかったんでしょ?陣平がホイホイ合コンに参加するようなヤツだなんて、思ってないし。さっきも言ったけど、私は合コンなんて知らなかっただけなんだからね。参加したくてしたワケじゃないから』
「じゃあ・・・アレか?さっきのことか?」
『・・・・・そうね』
Aは窓の外を向いたまま、声のトーンを少し落とした。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時