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FILE.369 本庁の刑事恋物語7 ページ44

『完全試合とは、いわゆるパーフェクトゲーム。ピッチャーが敵のバッターを一人も塁に出さない試合のこと・・・・完全試合はハラハラするでしょうけど、野球に詳しくない人にとっては、何も起きない試合と見えるのよ。しかも、放送枠が1時間ってことは、そのピッチャーの味方の攻撃は、ほぼカットされて敵チームのバッターが打ち取られる場面だけが流れる・・・・』


浩太くんを見て『そうだったんでしょ?』と尋ねると、「うん」と頷く。

「バッター3振ばっかりして、打ってもアウトばっかりだったから・・・・つまらなかったよ」

「こりゃー、誘拐犯は六田さんに決まりだな」

「ま、待てよ!たとえ犯人が六田だったとしても未遂だろ?俺から金を奪ったワケじゃねーし、それにアイツ金に困ってるらしいから・・・きっと、つい魔が差して・・・・・」

『やっぱり知ってたんですね。あの宝くじの中に当たりがあることを』


浩太くんから江本さんに視線を移して、真っ直ぐ捉える。


『お金に困ってる彼に、宝くじが入った封筒をそのまま送り返したんですよね?でも、そうと知らいない彼は、この家に侵入して宝くじの券がないことに焦り、浩太くんを誘拐した。

この状況から六田さんが怪しいと思い始めたあなたは、”彼の家に行こう”と言い出し、あの郵便物がつまったポストを見て、”あのパンパンにつまった郵便受けにイイ物件チラシが入ってるかもしれねーぞ?”・・・・って言ったんですよね?どこか間違ってますか?』



全てを見破ると江本さんは「ああ、そうだよ・・・・」と苦虫を嚙み潰したような表情をした。

「その通りだけどよ・・・・いいじゃねェか!もともとアイツが買った宝くじなんだし、それにアイツだけなんだよ。昔・・・・俺達仲間の夢だった音楽を諦めずにまだ続けているのは。皆つらくて止めちまったのによ!

だから・・・・今回のことは勘弁してやってくれよ!刑事さん!」

『ダメよ』


間髪入れずにそう告げると江本さんは顔を歪ませた。


『誘拐は殺人にも匹敵する最も卑劣な犯罪。許すワケにはいかないわ。しかも、それがお金のためなんて・・・・』

「ま、人の心を傷付けて叶える夢なんて・・・ソイツにとっても不幸なことだが、同情できねーな!」

「だよな・・・バカだな、アイツ・・・・・」





やっぱり江本さんは庇おうとしてたか・・・だけど、犯罪は犯罪。


毛利さんの言う通り同情の余地はないわね。

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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時

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