FILE.365 本庁の刑事恋物語7 ページ40
『それにしても、家に何時頃行ったのかホントに聞いてないんですか？』
「はい。その人に口止めされたみたいで・・・・」
「例のカードをもらったことや家に連れていかれたことも、やっと聞き出したくらいでさ」
すると、「あのー・・・」と蘭ちゃんが恐る恐る口を開いた。
「浩太くんがもらったのがレアカードなら、それを集めていた引屋さんが怪しいんじゃないんですか？」
「いや、レアカードっていってもショップじゃ3000円くらいで売ってるそこそこの代物でさ・・・大人なら誰でも買えるカードだよ。俺達が欲しがってる80万円の幻のプレミアムカードとは、ワケが違うぜ！」
「そういえばあの時、引屋さんがカードのパックを送ったと言ってましたけど、その中にプレミアのカードが入ってたってことは？」
「言っただろ？なかったってよ！」
「プレミアといえば、佐塚さんは3万円現金書留で送ったそうだけど、その中にゾロ目の番号が混じっていたとか・・・・」
「さあな。金の番号なんていちいち気にしてねェよ。ちなみに、六田が送ってきた宝くじも興味がねェから捨てちまったよ」
ダメだ・・・何もわからない・・・・手掛かりはきっと今までの中にあるはずだと思うんだけど・・・・・
頭を捻っていると「じゃあ映画とか！」と蘭ちゃんが再び口を開いた。
「その野球の試合って映画やドラマのシーンだったりして！」
『そうね・・・・陣平、その線で調べて！』
「ヘイヘイ・・・・」
少し経つと、松田はその日のテレビ欄の一覧を画面に表示させた。その画面を横から覗き込む。
「恋愛モンばかりだな。”浮気は素敵”・・”合コン貴族”・・・”すれ違いラヴァーズ”・・・・”すれ違う2人”・・・・・”短すぎた春”・・・・・・」
横から松田に見られている視線を感じたまま、画面を凝視する。
『・・・・・私、行きたいと思って行ったワケじゃないから』
「・・・・・は」
『宮本さんに騙されただけで、ホントに合コンなんて知らなかったんだから・・・・』
顔を画面から離しながら『誰かさんはどうだが知らないけど』と言うと、松田の顔にピキッと筋が出たような気がした。
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作者名：セカイ | 作成日時：2024年2月3日 19時
