FILE.361 本庁の刑事恋物語7 ページ36
そして松田、コナンくん、江本さんとともに、まず初めに六田さんのアパートへと向かった。
江本さんは、パンパンに郵便物が溜まっているポストで六田さんの部屋番号を確認すると、階段で2階へと上がっていく。何でもここに来るのは、初めてらしい。
江本さんが呼び鈴を鳴らすと、中から六田さんが出てきた。
「何だよ、こんな時間に・・・・」
「悪りィ悪りィ、合コンでお前の話をしたら、この2人が会いたいっていうからよ」
「会いたいって・・・・俺にか?何で」
六田さんにそう尋ねられると、松田の引っ張り腕を組みながら『実はわたし達もバンドやってて・・・』と説明する。
「え」
『でも、彼の詩が私のメロディーと最近合わなくて・・・・』
話合わせてよね、という意味を込めてジロッと横目で見ると「ハハ・・・」と苦笑される。その様子を見てたのかコナンくんが「ねぇ、お兄さんの曲聞かせてよ!」と尋ねた。
「な、何だ?この子?」
『この子はコナンくん。ヨロシク』
コナンくんを抱きかかえて微笑むと「へー」と返された。
「君らの子か?」
『「え」』
一瞬固まったもののすぐに『弟よ』と訂正した。そして、一通り説明をし終えると、六田さんが「まあ、入れよ」と言った。
ホントはバンドなんてやってないし、弟でもないけど・・・・噓も方便よね。
でも・・・・コナンくんぐらいの子だったら、わたし達の子に見られても可笑しくな・・・・って何考えてるんだろう。
コナンくんを下ろした後にそんな邪念を振り払い、中へと入った。
中は軽快な音楽が流れていて、レコード、ディスクなどがぎっしりと棚に整列されていて、ギターが飾られている。
すると、江本さんが「それよりまた宝くじこんなに買っちまって・・・・」と電子ピアノの上に置いてある宝くじを指差した。
「お前にもおすそわけで送った年末くじだよ。ちゃんと確認した方がいいぜ?」
「いいよ、どうせハズレさ・・・・っていくかよォ、こんなモノ大量に買う金があるなら、もうちっといい部屋に引っ越せよ!あのパンパンにつまった郵便受けにイイ物件チラシが入ってるかもしれねーぞ?」
「あ、ああ・・・・」
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時