FILE.356 本庁の刑事恋物語7 ページ31
「私、そろそろ帰ろっかな」
「オイオイ、何言ってんだよ姉貴。滅多にない息抜きじゃねェか・・・」
「でも、一人で留守番してる浩太が心配だし・・・・」
そう話すのは、この合コンの企画者の江本将史さんの姉・彩さん。わたし達の前に座っていて、携帯を見て何やら時間を気にしているようだった。
「弟さんですか？」
「いえ、5歳になるイトコなんです。両親が仕事で海外へ行ってて、その間しばらくウチで預かることになって・・・・」
「大丈夫だよ！夕食、作ってきたんだろ？たまには、パーッとやろうぜ」
「でも、仕事も残ってるし・・・」
「まあ、今日ぐらい仕事は忘れましょう。息抜きしないと身体にも毒ですよ」
「はい・・・・」
彩さんの隣にいる高木くんが、ドリンクをコップに注ぐ光景を何となく見てると、高木くんの隣にいるヤツの視線を感じた。
視線をそっちに向けると、またさっきのような何とも言えない空気が流れる。
すると、「ああ！高木刑事！」という蘭ちゃんの声で我に返る。視線を戻すと、注いだドリンクがコップから溢れ出ていた。
「あ、すみません！」
「いえ・・・」
近くにあった紙ナプキンを高木くんに渡すと「ありがとうございます・・・・」と言われる。
『ったく、しっかりしてよね！』
「は、はい・・・」
高木くんを注意していると、彩さんが「私やっぱり帰ります！」と言い出した。
「この前変なことがあったばかりだし・・・・」
『変なこと？』
「その浩太のことでさ、ある日浩太がウチに友達を連れてきて仮面ヤイバーのバトルカードを見せびらかしてたんだ。見覚えのない超レアカードってな。何でも優しいおじさんにもらったとか・・・・」
「優しいおじさん？」
「ソイツは前髪の長いヒゲ面のおじさんで、浩太の目の前で財布を落とした。拾ってやったら、お礼にってくれたんだってよ」
優しいというか、怪しいおじさんだな・・・・
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作者名：セカイ | 作成日時：2024年2月3日 19時
