FILE.347 黒鉄の魚影 ページ22
人混みをかき分けてメインルームに戻ると、牧野さんや職員達が必死にコンソールを操作していた。
「オイ!また遠隔操作されている!」
「何!?」
「閉じたはずだろう」
「新たなバックドア!グレースのヤツ・・・・!」
『黒田管理官!』
階段を駆け下りながら黒田管理官に近付く。
『すみません、取り逃がしました』
「構わん」
「それより一体何があったんだ?」
「ここが魚雷に狙われている。恐らくここにいる人間をシステムごと葬るつもりだ」
『「ええッ!?」』
「相手は潜水艦一隻。今はデコイの準備をしているところだ」
「デコイ?」
『魚雷を誘導する囮よ』
「そして今、新たなバックドアが確認された」
「ってことは、恐らくその潜水艦に逃げ込むつもりだろうな」
『その可能性が高いでしょうね』
その時、警告音が鳴り響いて職員が「魚雷を探知!」と叫んだ。モニターには魚雷を示すであろうアイコンがものすごいスピードでパシフィック・ブイに近付いてきている。
「デコイ発射!」
「デコイ発射、了解!」
職員が復唱すると、モニターにデコイも表示された。2発の魚雷がデコイに引き寄せられているのか、進路を大きく変えていく。
「魚雷、進路変更!」
「デコイにかかりました!」
進路を変えた魚雷はデコイに向かって突き進んでいき、2つのアイコンが重なった瞬間、メインルームが大きく揺れた。きっと、ぶつかって爆発した衝撃波だろう。
その後もデコイを発射し続けるが、突然「デコイの発射口が開きません!」と職員が叫んだ。
「何?エド!」
牧野さんが呼び掛けるとエドさんは顔を青ざめながら「ダメだ・・・・」と振り返った。
「防御システムの遠隔操作されてる・・・」
「何だと・・・!?」
防御システムまでって・・・・デコイが発射できないとなると、次魚雷を撃ち込まれたら避けられないんじゃ・・・・
すると「魚雷を捕捉!」と声がした。モニターには再び2つの魚雷のアイコンが表示される。
「牧野局長!決断を!!」
「90秒で着弾!!」
黒田管理官と職員の声が響くと、牧野さんは顔を上げた。
「総員、至急退避!施設内全てに避難指示を!!急げ!!」
「A、行くぞ!!」
『う、うん!!』
その場いた全員が避難をして、エレベーターに乗って海上部へと上がる。そして船着き場に停泊中の警備艇に飛び乗る。全員が乗るとすぐさま発進し、パシフィック・ブイから距離をとった。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時