FILE.342 黒鉄の魚影 ページ17
メインルームに入ると、黒田管理官と白鳥くんがレオンハルトさんの血液検査結果が印刷された紙を牧野さんに見せていた。
「・・・・それで?」
「強アルカリ系の毒物が検出されています」
「多分、洗剤か何かだろうと言っていた」
「だから口がただれてたんだな。やはり―――――ふにゃあぁ!」
突然毛利さんが奇声を上げたかと思うと、倒れるように階段を後ろ向きに下りていき、回転しながら後退していく。そして阿笠さんが素早く椅子を差し向けると、勢いよく腰を下ろした。
膝の上に肘をついて深く俯いているその姿はまるで眠っているようで、エドさんは「眠りの小五郎!!」と感嘆の声を上げた。
「えー、皆さん。やはり直美さんの拉致を手引きし、哀くんをさらい、レオンハルトさんを殺害した犯人がこの中にいます」
騒然とする中でふと横を見ると、牧野さんのデスクの後ろにコナンくんが蝶ネクタイを口に当てながら隠れていた。
「眠りの小五郎って・・・・」
『そういうことなのね・・・』
再び前を向くと牧野さんが「彼はジサツでは?」と尋ねていた。
「いえ。麻酔薬で眠らされた後、毒物で殺害されたのです」
「何でそんな回りくどい方法を・・・・」
「今回の殺害は計画的ではなく、突発的犯行だったからです。だから、哀くんを拉致した時に使ったのと同じ麻酔薬を使うしかなかった」
『エーテルの匂いがする薬ですよね』
「ええ。その匂いをごまかすために、遺体をコーヒーまみれにしたんです」
「・・・・しかし、あの映像は?」
白鳥くんが尋ねたのは、きっとカフェの監視カメラ映像のことだ。レオンハルトさんが自ら毒薬らしきものを口にしてコーヒーを飲み、苦しみだして倒れたあの映像。だけどそれは・・・・
「ジサツに偽装するための”ディープフェイク”です」
「ええっ!?」
「あれが!?」
「ディープフェイク?」ときょとんとする蘭ちゃんに松田が「簡単に言えば、ニセ動画だ」と答えると、目を丸くした。
「なるほどな。だからカフェなのか」
「ええ。個室には監視カメラがありませんから、定例となっているカフェの清掃時間を利用したんです」
「だが実際には清掃は行われていない、ということか」
黒田管理官の言葉に毛利さん・・・いやコナンくんは毛利さんの声で「はい」と答えた。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時