FILE.341 黒鉄の魚影 ページ16
『早速だけど、さらわれた時の状況は覚えてる?覚えてたら教えて欲しいんだけど』
手帳とペンを取り出すと「ええ」と小さく頷いた。
「エーテルで眠らされたわ」
『「エーテル?」』
「それをベースにピンガが作った麻酔薬だと思う」
「シンナーみたいな匂いするか?」
「ああ・・・まぁ似てるわね」
そういえばあの時コナンくんが、レオンハルトさんの口元からシンナーみたいな匂いがするって言ってたな・・・・だとすると、レオンハルトさんは死亡する前に眠らされていた・・・
『ということは、直美さんを拉致を手引きし、哀ちゃんをさらった人物、そしてレオンハルトさんを殺した犯人は、同一人物ってことになるわね』
「ああ。というか、ピンガって誰だ?」
「あ、えっと・・・・・」
「ヤツらのコードネームだよ。それに黒羽刑事の言う通り、3つの事件の犯人はピンガで間違いない。さらに言うなら、フランクフルトの侵入事件の犯人もピンガなんだ」
『そうなの!?』
「ああ。髪をコーンロウに編み上げたヤツだよ」
「コーンロウって・・・・」
『あの時の!』
哀ちゃんをさらわれた時、対峙したあの男がピンガだったのか。ってことは、あの時にすでに接触していた・・・・・思い出したのと同時に身体がぞわっとする。
「ピンガがこのパシフィック・ブイにいるのは間違いないんだ」
『そう・・・』
とっ捕まえる最後のチャンスってワケか・・・・
「なるほどな・・・・大体掴めてきた。他には何か聞いてないか?」
松田に訊かれた哀ちゃんは天井を仰いだ。
「何か・・・・計画にない行動について怒ってた」
『「「計画にない行動?」」』
顎に手を当てて考える。
ピンガが犯した計画のない行動・・・・思案を巡らさせると2文字の言葉が浮かぶ。
『殺人・・・?』
その時、直美さんが医務室に戻ってきた。直美さんは椅子から紙コップを取って、手を温めながら椅子に座り、紅茶を飲んだ。
「美味しい」
そして紙コップの縁を親指でそっと拭う。
その一連の動作を見てハッとした。
『なるほど』
「そういうことか!」
松田とコナンくんを見ると、2人はニヤリと笑みを浮かべた。
「灰原、ここで待ってろ!ぜってェ何とかしてやっからよ!」
コナンくんはベットに立てかけていたスケートボードを脇に抱えて駆け出していく。
『後はわたし達に任せて!』
哀ちゃんにウインクをすると、松田とともに医務室を飛び出した。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時