FILE.340 黒鉄の魚影 ページ15
しばらく経つと、コナンくんから着信がきた。どうやら無事に2人を救出出来たらしい。今は、知り合いのクルーザーでパシフィック・ブイに向かっているとのことで、黒田管理官にこのことを報告すると、船着き場で到着を待つことになった。
海上部の船着き場にクルーザーが到着した頃には、完全に日が落ちていた。
「それにしても、まさかこのボウズの言う通り、ホントに潜水艦がいたなんて・・・・」
「海上自衛隊の出動を政府に要請した」
ま、そうりゃあそうだろうな・・・・と思いながら毛布にくるまった直美さんと哀ちゃんに目を向ける。2人とも外傷はなさそうで安心した。
私と松田は、直美さんと哀ちゃん、コナンくんを医務室に連れて行った。
『寒かったでしょう。着替えと温まるものを用意するわね』
「あ、手伝います!」
松田と医務室を出ると直美さんがついてきた。疲れているだろうから大丈夫と断ったものの、彼女が手伝いと言うので、手分けして用意することにした。
温かい紅茶を用意していると、直美さんがトイレに行きたいと言ってきたので、着替えを受け取り先に医務室に戻る。
「・・・また、拉致されないといいけどな」
『・・・ホントにね』
医務室に戻ると、2人でベットに座って何やら話し込んでいた。
『お待たせ。はい、どうぞ』
「ありがとう」
2人に紙コップに入った紅茶を差し出し、1つはベット前の椅子に、着替えはベットに置くとわたし達は空いている椅子に座った。
「あれ?直美さんは?」
『トイレよ。それで?何を話してたの?』
「あ、えっと・・・・」
尋ねると、哀ちゃんは紙コップを持ちながら少し俯いた。
「あの・・・・」
『ん?』
「助けようとしてくれて・・・・・ありがとう」
『いいのよ。無事でホントによかった・・・・もう大丈夫だからね』
哀ちゃんの頭を撫でると顔を上げたものの、すぐに俯いてしまった。
「それで・・・・あなた達は知ってるのよね」
『「え?」』
「その・・・・私の正体を」
「・・・・・詳しくは知らねーよ?ただ、コイツと一緒で小さくなったってことは知ってる」
「そう・・・・」
『でも、知ったところでどうこうしようってする気はないから、安心して』
そう言うと、哀ちゃんは俯いたまま頷いた。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時