FILE.339 黒鉄の魚影 ページ14
少しして、エドさんがシステムにバックドアを仕掛けた犯人のサーバが特定出来たと叫んだ。
「どのくらいでバックドアを閉じられる?」
「2、3時間ってとこかな」
エドさんがコンソールを操作していると、別の職員が「局長!」と呼んだ。
「ソナーが反応しています。ここから2キロ以内、スクリュー音です」
スクリュー音・・?
その時、降谷からの電話を思い出した。
――――――――
<夕方にはヤツらの仲間が空から合流する。つまりその時――――>
『潜水艦は浮上せざるを得ない』
<そうだ。助けるならそこしかない>
――――――――
潜水艦が浮上し始めているってことか・・・!
松田とコナンくんに『ちょっと来て』と小声で呼ぶと、2人を引き連れてメインルームを出たところで立ち止まる。
『さっき、ソナーがスクリュー音に反応してるって言ってたから、潜水艦が浮上している可能性が高い』
「なるほどな。助けるなら今しかねェってことか」
「アイツを拉致した後、ヤツらは車ごと海に飛び込んでたから艦橋から乗り込んだ様子はなかった。海中で車から脱出し、そのまま乗り込んだ可能性が高い。つまり、その潜水艦は水中から出入り出来るはずなんだ」
その時、携帯の着信音がした。画面を見ると新着メッセージが届いていた。
「でも、どうやって助けるんだ?」
『脱出方法ならわかってるよ』
「「え?」」
画面を見てフッと笑うと『わたし達には強い味方がいるからね』と2人に画面を見せた。
”少女はダイバーが出入り出来る魚雷発射管から乗ってきた。黄色のボタンで発射管に入れる。後は自動で海水が流れ込み、扉も自動で開く。だけど緑レバーを引くと、発射管内に圧縮空気が撃ち出される。もしその時中に人がいれば命を落とす。”
「これは・・・」
『ちょっとある手を使ってね。これでなら2人は脱出出来る』
「その後はどうすんだ?俺達はこっから動けねーぜ?」
「それならボクに任せて。必ず2人を助け出してくるから」
真剣な瞳で見つめられ『わかった』と頷く。
『助けるのは君に任せる。でも、気を付けて』
「うん」
コナンくんはエレベーターに向かって走り出した。わたし達はあの子みたいに自由に行動が出来ない。だから助け出すのはあの子に任せた。
「にしても、アイツに連絡しといてよかったな」
『うん。助け出したらお礼言いに行かないとね』
画面を見ながら”ありがとね、ヒロ”と心の中で呟いた。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時