FILE.327 黒鉄の魚影 ページ2
続いて、インド出身のエドさんに話を訊いた。自分のコンソールから離れたくないという本人たっての希望で、事情聴取はエドさんの席で行うことなった。そして、システムの運用を一時停止するよう提案すると反対された。
「だってこんなすごいシステムをいじれるんだよ?」
『以前までは、世界的なIT企業におられたそうですが』
「・・・・こっちの方がずっとやりがいがあるね。今日みたいにエキサイティングな事件も見られるし」
2人に事情聴取を終えると、白鳥くんと黒田管理官と情報共有をした。
「まず、フランス出身のグレースさん。5年前、技術職で採用されたそうです。続いて、ドイツ出身のレオンハルトさん。ここに来るまでにヨーロッパ各国の警察と色々あったそうです」
『そうですか・・・・』
「一番気になるのはやはりレオンハルトってヤツだけど・・・・それだけじゃな・・」
「ああ。取り敢えず今日は引き下がり、また明日捜査し直そうじゃないか」
もう夜になったこともあって、今日の捜査は切り上げることになった。
パシフィック・ブイから警備艇に乗り込み、八丈島へやって来た。
わたし達がパシフィック・ブイに到着するまでの間に、白鳥くんが八丈島にあるベルツリーホテルの部屋を、急遽わたし達の分も確保してくれたらしいため、今日はそこで寝泊まりすることにした。
『ここ、鈴木財閥が所有しているらしいわよ』
「へー・・・ってことは」
『いるかもね』
「嘘だろ」
ホテルに入ると、丁度食事の時間だったらしくレストランへ向かった。料理は八丈島の郷土料理がメインで、近海でとれる新鮮な魚介類や、島寿司、島野菜の天ぷらなどが並んでいる。
「これウマ」
『ホントね。お食事も美味しいし、雰囲気も素敵』
テーブルから見えるテラスの先には、ライトアップされた大きな池があり、水面が輝いて幻想的な雰囲気を醸し出している。
『ね、また休みとって旅行しに行こうよ』
「どっか行きたいところでもあんのか?」
『・・・・北海道とか?』
「北海道か・・・・別にいいけど」
『ホント?じゃ、計画立てておかないとね』
嬉しくなって料理に手を伸ばそうとすると「楽しそうだな」と言われた。
『だって旅行だよ?それに・・・・』
「それに?」
『デ・・デート・・・・なんだから』
恥ずかしくなって上目遣いをすると「そ、そうだな・・・・」と松田は視線を逸らした。
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作者名:セカイ | 作成日時:2024年2月3日 19時