捜査一課の黒羽さん 8【名探偵コナン】 (ページ1)

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FILE.326　黒鉄の魚影ページ1

カフェスペースには局長とエンジニア達がそれぞれ間隔をあけて座っていた。わたし達はまず、パシフィック・ブイの局長の牧野さんの前に座り、話を訊くことにした。

『警視庁の黒羽と松田です。ここで拉致事件があったと聞いて来ました。早速ですが、拉致された方についてお伺いしても？』

「はい・・・・拉致されたのはエンジニアの直美・アルジェントです」

「ソイツがいなくなったのはいつ頃だ？」

「15分の休憩をとった後です。戻ってこなくて施設内の防犯カメラを確認したところ、トイレに入る姿が映ったのが最後でした」

白鳥くんから連絡があった通りだ・・・・

『ちなみにいなくなる直前、その方はどんなことをされていたのでしょうか』

「他のエンジニア達と同じく、ヨーロッパ中の防犯カメラをシステムに繋いでいました。また、彼女の作った”老若認証”のシステムのテストを行いました」

「”老若認証ォ”？」

「はい。骨格から老化や若返りを計算し、その顔をCGで作り、それと合致する顔を”顔認証”で探せるんです。解剖学と統計データで計算するAIを使っているそうで、映像データさえあればAI技術で自動化が可能で、長期の逃亡者や誘拐の被害者を世界中で追うことができるシステムです」

『なるほど・・・・』

確かにすごいシステムだけど・・・そのシステムなら彼が縮んでしまったことも知られてしまうかもしれないな・・・

その時、首元にスカーフを巻いている女性から話を聞いていた白鳥くんが近付いてきた。

「彼女が”事件が起きた以上、システムの運用を一旦停止すべきなんじゃないか”と言っていました。牧野さんにも訊いてもらえますか？」

『わかりました』

牧野さんに聞こえないように話すと、白鳥くんは角刈りの男性の方へと向かっていった。

『牧野さん、システムの運用を一時停止することは出来ませんか？』

「ダメだ！それは絶対にできない！」

「だがなァ・・・・」

「当日に停止など、インターポールの威信に関わる！」

さっきとは違い冷静さを欠いて熱くなったのか、テーブルをドンッと強く叩いた。