FILE.7 揺れる警視庁 1200万人の人質 ページ9
電話を終えて、二人の方を見ると二人とも表情が強張っていた。
「なあ・・今の電話の相手って・・・・」
『萩だったよ。他の隊員も無事みたい』
「そっか・・・・・」
「・・・ったくヒヤヒヤさせるなァ」
そして、安心した顔へと変わった。
「戻ってきたら一発お灸を据えてやるか・・・・」
『それもいいけど、まずは病院に連れて行ってもらおう？いくら無事でも検査してもらった方がいいかも』
「そうだな。じゃあ俺は近くの救急隊員に伝えてくるよ」
「じゃあ俺は全体に―――」
「いや、松田はAの傍にいてやってくれ」
「え」
「全体にも俺が伝えておくから、な？」
「・・・ああ」
班長がこの場を離れて、救急隊員たちに伝えているのが見える。
きっと気を遣ってくれたのだろうけど、わたし達の間には沈黙が流れているから寧ろいてくれた方が助かった。
この沈黙をどうにか切り抜けようと話題を探そうとすると、携帯をまだ持っていることに気が付いた。
『あ、そうだ。携帯勝手にとっちゃってごめん』
「ん？別にいいぜ」
携帯を差し出すと、携帯ではなく手を握られた。
『ま、松田？』
「手、震えてる。怖かっただろ・・」
『それはそっちもでしょ・・・』
「まあな。嘘じゃねーけど・・」
少しの間握ってもらっていると、だんだん震えが収まってきた。
『松田、そろそろ・・・・』
「・・・・・・Aが偶然でも来てくれて助かったよ」
『え？いきなり何？』
松田は手を見つめながら辛うじて聞き取れるくらいの声量で呟いた。
「俺じゃあどうすることもできなかった」
『そんなことないよ』
「そんなことあるさ。じゃなかったら萩は・・・・・」
『松田・・・・・』
松田にしては弱々しい姿だった。
『・・・・松田は萩のことが大事なんだね』
「・・え」
『だからそこまで真剣になれる』
握られている手を胸の前に持って来て、今度は私が握る。
『結果として着たタイミングは私が言った直後だった。だけど、松田が言い続けても萩は着たよ。・・・・・まあ、それ以前に脱いでいるのが大問題なんだけどね』
視線をマンションに少し向け、すぐ松田に戻した。
『わたし達の声で萩だけじゃない、他の隊員たちも無事だった。今はそれでいいんじゃない？』
微笑みながら言うと、松田はいつもの顔に戻った。
「・・・・ああ。そうだな」
FILE.8 揺れる警視庁 1200万人の人質→←FILE.6 揺れる警視庁 1200万人の人質
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1487人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うっきー - いつも楽しく拝見させていただいてます！！もしよろしければ警察学校編が見てみたいです🙇🏻♀️ (5月8日 12時) (
レス) id: 42247d2ac2 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - 朽木 桜さん» コメントありがとうございます。返信遅れてすみません。FILE.21の水銀レバーについて原作を読み返してみたのですが、コナンくんが水銀レバーが作動してしまうと言った後に、二種類の液体爆弾について説明をしていたので、原作通りの台詞にしてみました。 (1月12日 22時) (レス) id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
朽木 桜(プロフ) - ファイル21の水銀レバーの回のところを読んでいるのですがコナンくんの水銀レバーの説明が違います。二種類の液体爆弾は花ハロのもので水銀レバーではないです。水銀レバーコナンで調べると説明が出てきますよ！！ (2023年5月4日 22時) (レス) @page23 id: e22cbff476 (このIDを非表示/違反報告)
セカイ(プロフ) - 氷花さん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2023年5月1日 23時) (レス) @page50 id: 220b9e6626 (このIDを非表示/違反報告)
氷花(プロフ) - 続きがとても気になります。更新頑張ってください。 (2022年7月1日 22時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セカイ | 作成日時：2022年6月16日 23時
