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「そういえばAってたまに昼食持ってこなくない?」
昼の空き教室に一人、ありさかの声が響く
「え、そうなん。あんま気にしてなかったわ」
確かに一ノ瀬の昼食であるパンを本人が持って来ないことは頻繁にある
だがしかし大体そういう日はお腹が空いていないか、
お金を持参していない日の二択だ
お腹が空かない日はともかく、お金はどうしようもない。
だが問題ないのだ
彼はあの日以来、自分の昼食と何かしらのパンを持って彼女と会っている
餌付けという名の食事を与えている
与える というのは少々不適切かもしれないが、
『母が子に対して』使うワードなので大方間違いではない
「うん忘れる日はある。でもありさか辺りがくれるから困ってない、選ぶセンスも良いし」
ありさかがくれるパンは栄養を気遣ってくれているのか、野菜が入っているので最高に良い
稀に菓子パンだが、それでも野菜ジュースもくれるから実質母親ポジション
だがその発言に気になるとこがあったのか
「Aって何好き?」
ドストレートに聞いてくるあたり彼も何かで彼女を満足させたいのだろう
その意図は彼女も分かった
遠慮がちに、でも彼を傷つけないよう優しく
「一人で満足するより皆でした方がこっちが嬉しい。
だるまもセンス良いし、自分がシェアしたいのもってきて…クダサイ」
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作者名:フェアリー小林 | 作成日時:2023年12月28日 18時