【レトルト】女装男子系実況者【男主】 (ページ31)

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「今日は女神サマのライブに来てくれてどーもありがとう！！」

……どうしてこうなった。

時間は数十分前に遡る。

俺、レトルトはゲーム実況者である。
今日はニコニコ動画の運営さんが企画するイベントに出演することが決まっていて、
俺は時間通りにその場所へと着いた。
スタッフさんとも打ち合わせをし、安定の遅刻魔キヨくんの為に打ち合わせ内容をLINEで送り、
時間を待っていた。

そういえば今日のイベント、Aも来るんだった…よな？

キョロキョロと辺りを見回すも、Aの姿は無い。
…あれ。この前キヨくん達と伝えたイベントってこれの筈だけど……
ううん、と首をひねっていれば、遠くから聞こえた自分を呼ぶ声。

「レトさああああああん！！！」

キヨくんだ。いつも通りうるさい、安定だ。

「キヨくんうるさいよ」

「ごめんごめん！いやーまた遅刻したわー」

「遅刻すると思ってた。ちゃんと運営さんには連絡取ったんだよね？」

「うん。昨日のうちに多分遅刻しますってメールで」

「それで許してくれる運営さんも運営さんやな…キヨくんに甘過ぎやろ」

「俺ってば人生あまちゃんなもんで」

「うわーうざいわー」

２人で笑い合う。そうだ、キヨくんは知ってるかもしれない、Aについて。
それを尋ねようとした時、スタッフさんからの声がかかり、俺はそれを尋ねる事が出来なかった。

舞台に上がれば、ファンの子達の歓声と笑顔が目に入る。
持っていたマイクを口元に近付け(マスク越しだが)、俺は言葉を発した。

「こんちゃーす！！」

俺がいつもの挨拶をすれば、ファンの子達は大きな声でこんちゃーす、と返してくれた。
ああ、嬉しい。思わず笑みが零れる。

「どうもー、レトルトと、申しまーす」

「うぃーっす、どうもキヨでーす」

俺が名乗った後に、キヨくんもいつも通りに挨拶をする。
それだけで歓声が上がった。キヨくん凄い。
今日の進行を任されたのは俺で、挨拶も終わったし打ち合わせの通りに次に進めようと思った、その時。

突然スピーカーから音楽が流れ出す。
ん！？どういうこと！？！？
そしてその後流れ出した声は聞き覚えのある、アイツの声だった。

「…女神サマーー？」

大降臨！！！！
ファンの子達、そしてキヨくんが隣でマイク越しで発したその大きな声に思わず耳を塞いでしまう。
その声と共にステージ中央から現れたのはやっぱりアイツ、女神サマもといAだった。