【レトルト】女装男子系実況者【男主】 (ページ3)

今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:311,476 hit

1-1 ページ3

「ううー…ん」

ベッドから起き上がる1人の少年、ぐっと伸びをして眠たげに欠伸を零した。
のそのそとベッドから這い出て、素足がピンク色のカーペットへと降り立つ。
寝間着なのだろうか。水色と白の模様が描かれたもこもこ素材のショートパンツからのびる白い素足は男の物とは思えない。
洗面所へ向かい、顔を洗う。そして、さっぱりとしたもちもちの肌に彼は手慣れた手つきで化粧を施していく。
化粧を終えたときにはもう男とは呼べない程、可憐な顔が鏡に映し出された。
よし。小さな声でそう呟いて部屋へと戻る。寝間着を脱いでクローゼットから洋服を取り出す。
白いブラウスに茶色のスカート、黒いタイツを穿いて黒いカーディガンを羽織る。

「髪は…今日はこれでいいかな」

うなじの真ん中あたりで切りそろえられた艶のある黒髪を櫛で梳かす。
前髪の赤いメッシュがよく映えた。
彼の名前は望月A。これでもれっきとした成人男性なのだ―――

玄関を出たAは部屋に鍵をかけると、隣の扉の鍵を開け、乱暴な手つきでドアノブを引く。
そして、我が物顔でずんずんと部屋の中へと進み、未だにベッドの上でごろごろと寝転がる男の元へと近寄った。

「かーずーまー……起きろッ！！！」

「ぐえっ！」

足を上げ一真と呼ばれた男の脇腹を踏みつければ、潰れたカエルのような声を上げて動かなくなる一真――基、アブ。
脇腹の上に置いた足をぐいぐいと動かしながらAは言う。

「今何時だと思ってんだこのクソが」

「うえっ、Aっ、その声でその言葉遣いはやめなさいい…」

「るせー俺の勝手だろうが」

Aは飽きたのか、足をどかしてリビングに置かれた1人がけのソファにどかりと座り込む。
脇腹をさすりながら起き上がったアブは呆れたような視線をAに向けた。

「もうちょっと優しい起こし方があるでしょうが…」

「俺に優しくされたらてめー気持ち悪がるだろ」

「だからって暇なとき毎回この起こし方で起こすのやめてよ…あと、男言葉使うならきちんと男の子の声だしなってば」

「ロリ声に男言葉で罵られるのもいいんじゃねえかと思って」

「それどんだけマニアックな性癖さ？！」

「いやいや一真、このテのもんが好きな奴は結構いるぜ」

実際、俺のファンはそうだしな。フッ、と鼻で笑いながらAは言った。
Aのいうファンとは、彼がアブに誘われて始めた実況で得たファンの事だ。