【レトルト】女装男子系実況者【男主】 (ページ19)

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「「「いただきます」」」

手を合わせて目の前の料理を見る。
並んだ料理はどれも美味しそうで、俺はAの腕前に驚いた。
俺も料理は得意な方(嘘)だけど、こんなにはできんなあ。
目の前のAと、隣に座るアブさんはワインを楽しんでいて、俺は自分用に注がれたシャンメリーを手に取る。そのまま一口、うん、やっぱり美味しい。
マスカット味のそれは小さい時からの変わらない味だ。

「一真は今日泊まんの？」

「俺はご飯食べたら家戻るよ～…レトルトくんもいるし！」

「ん、そっか。壁ドンすんね」

「なにその地味な嫌がらせ。やめてよー俺帰ったら実況撮るんだからー」

「リズム刻んであげる」

「だからやめてってばー」

２人の会話は弾んでいる。うーん、俺、入れそうにないなあ。
疎外感を感じつつ料理を楽しむ。あ、これ美味しいな……

「玲護」

「……」

「れーいーごー？」

「…！あっ、ごめんぼーっとしてた…」

「飯食いながらぼーっとすんなよ、眠い？」

「いやまだ眠くないわ、考え事してただけだから」

「ふーん。お前、うちきてからぼーっとすんの多いよな。何考えてんの？」

にやにやと笑みを浮かべて問いかけてくるA。
やっぱりまだこの人に慣れそうにはない…なあ。
てか、何考えてたかなんて言える訳ないやろ……そう思って俺は口を開く。

「教える訳ないやろ」

「えー教えてよー気になるもん。なあ一真？」

「ええ、ここで俺に振る？」

おかしそうにけたけた笑うアブさんが笑いながら俺に視線を向ける。
それでも俺は意見を曲げない。

「アブさんに頼まれたって言わんからな！」

「ちぇ、ケチだなあお前」

「ケチじゃないですー普通ですー」

「あははは、残念だったねーA」

「笑うんじゃねえよ一真」

場が盛り上がる、さっきまで話に入れなかったけど今では自然に会話に参加出来ている。
…Aがわざと俺を入れるように誘導してくれた？
いやいやそんなまさか、ただの偶然だ……そう思い直して俺は料理を食べる事にした。

「じゃ、レトルトくんばいばーい」

夕飯を済ませ、玄関先でアブさんを見送る。
Aはさっさとリビングに戻ってしまい、俺が玄関に鍵をかけた。
ふう、と息を吐いてリビングに戻ればAの姿が見えない。

「…？」

――――
男主のロリ声はボーカロイドの蒼姫ラピスのような感じだと自分の中では思ってます。