何故 ページ31
「はぁ...」
今日も会えなかった
閉店を知らせる音楽が響く店内を
ため息をつきながら後にする
あの夜、息を切らせて向かったこの店で
結局俺は、あの人の姿を目にする事はできなかった
それから数日
俺は毎日この店に通っていた
貴重な昼休みの時間も使って...
そんな中、Aから着信があった事は気付いていた
だけど、どうしても掛け直す気にはなれず
そのままになっている
自分でもサイテーな事をしているのは
わかっていた
それでも、再び動き出した想いは
止めることなどできなかった
足取り重く歩く帰り道
俯きがちに到着した自宅のマンションに
「ぁっ...！」
会いたかった顔が見えた
俯く彼女の腕を
Aさん...！
力一杯引き寄せると
「あっ、チャンミン...(笑)」
そこにいたのは待ち焦がれたあの人じゃなく
Aだった
「・・・・」
思わず零れそうになったため息を飲み込み
「...どうしてここに？」
無責任な質問を投げ掛ける俺
そんな俺に
「よかった...」
彼女が優しく微笑んだ
「...よかった？」
「うん、社食にも来ないし
連絡が取れないから何かあったのかと思って...」
「・・・・」
本当に心配していたらしく
目の前でホッと胸を撫で下ろしている彼女
よく見ると、鼻の頭と
髪の隙間に見える耳が真っ赤になっていて
「・・・いつから待ってたの？」
「う〜ん、いつからだろう...
慌てて出てきたから時間なんて見てなかった」
へへっと照れ臭そうに下を向き
口元を隠すマフラーを掴むAの指先
その指先も、痛々しい程真っ赤に染まっていて
「...馬鹿だな、風邪ひくだろ」
「...えっ」
堪らず俺は彼女を抱き寄せた
冷たい身体...
「ごめん...仕事が忙しくて...」
思わず嘘をついてしまったのは何故だろう
「ううん、私の方こそ突然ごめんね...」
「・・・おいで」
俺は彼女の手を引き部屋へと向かった
繋いだ手は、こんなにも冷たいのに
温もりを感じるのは何故...？
「A...」
部屋に入るなり抱き締めた俺の腕の中で
愛しそうに俺を見上げる瞳は
やっぱり愛しいあの人にそっくりで
「A...」
この想いが一体誰に向けられたものなのか
俺にはもう、わからなかった
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ちなみ(プロフ) - amiさんとなおさんのコラボ作品、とっても良かったです。身代わり？とか思ったけど、私は私の良さがあったから、チャンミンも自分の気持ちに気付いてくれた。心がほんわかしました。ありがとうございます。 (2017年1月8日 21時) (
レス) id: 78ec05bb04 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - ここあさん» 読んでくださってありがとうございました！忘れられない人が居るチャンミンと、そのチャンミンを想い続ける彼女。どちらもつらい恋でした。泣いた分、最後のハッピーエンドで笑って頂けたかな？私にとっても思い出深い作品なので、感想嬉しかったです。 (2015年6月26日 22時) (レス) id: 39eb0052e1 (このIDを非表示/違反報告)
ここあ - 泣きました(ToT)すごくステキなお話ですね。ずいぶん皆さんから遅れたコメントで申し訳ないです(>_<) 途中胸が苦しくなるくらい切なかったけど、最後は幸せになれてよかったです♪ (2015年5月26日 1時) (レス) id: 6016df3393 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - アスカさん» アスカさん、コメントに気付かず、お返事が遅れてごめんなさい(>_<)このお話は、なおちゃんと二人で作った私にとっても思い出深いお話ですので、そんな風に仰って頂けてとても嬉しいです！最後まで読んで頂き、感想まで、ありがとうございました！ (2015年4月22日 11時) (レス) id: 65b029e398 (このIDを非表示/違反報告)
アスカ(プロフ) - コラボ作品、素敵でした。ありがとうございます。いい作品も読むことが出来て私も幸せです。 (2015年4月11日 9時) (レス) id: b6b3a6f85e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なお ami
x他1人 | 作成日時：2014年10月16日 21時
