訳アリのアイ (ページ9)

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「俺、用事あるから出るわ。」

余韻に浸ってのんびりしていると

長針と短針は寄り添うように6で重なり合っていた。

「帰ってきてよ、まだ足りない。」

「腰、振らないけど。」

「私の欲を満たしてよ。」

意地悪そうに笑う彼女は

俺以上に愛に飢えてるらしい。

「待ってて。」

「わかったから絶対来てよ？」

首を傾げ確信犯なあざとさを見せる彼女を

横目に服を着て家を出る。

スマホを見ながら周辺でうろうろしていると、

Aの姿が、

「捕まえた。」

そう言って抱きしめると

やられた、みたいな顔をするA。

最初は

「もぅ、」

なんて抵抗してたのになんて思っていた。

たわいもない話に花を咲かせていたところで

目的地付近に着く

「ねぇ、今日夜俺いらないから。

ここら辺で食べてくる。」

何かを察したAは

『そっか、じゃあ後でね。』

顔を上げて目が合った時

首元の赤いあとが目に入ったのか

一瞬顔を歪ませた。

俺はそれに気づかないフリをして、

「じゃあ、家で。」

彼女の家に歩みを進めた。