✣ ページ12
人間の形は持っていたがオーラやら何やらが人間とは一線を画していた。
光を閉じ込めたようなふわふわとした髪に、今どき見ない着物？袴？を着ている彼、1番奇妙だったのはなんの遮蔽物もない地面に全く濡れずに話しかけてくる点だった。
「ちょっと見ない間にデカくなりすぎじゃない？昔はこーんなちっちゃかったのに」
『どっこ、から来たんですか？てか顔変わらなさすぎじゃない？？』
「知らない振りするのが上手いのは相変わらずじゃん」
分からないはずがないだろう、と尊大な態度で「きりやん、この神社に祀られてるの」と手を引いて境内まで歩き出す彼。拒否することも出来ず、彼の後ろを歩いた。肌と服からぽたぽたと滴る水が境内の美しい木目を濡らした。
またゴロゴロと音がなる。彼は大きな音に身体を少し揺らすこちらを見てクスクスと笑う。懐かしいはずなのに、どこか恐ろしいのは彼の正体に勘づいてしまったからだろうか。雨とは明らかに違う、冷汗が背中を伝った。
彼は他愛のない話をした。幼い私と過ごした日々、彼と仲の良い神様仲間、過去の町の話、雑学。彼と話していると段々と思考に靄がかかったような気分になる。嫌悪感はないが、心の中を燻る形容しがたい気持ちが浮き彫りになる。
「ねえ、A」
反応してはいけないと直感が告げた。
彼が蜂蜜を閉じ込めたような綺麗で濃い黄色を細めてもう一度告げる。
「A」
はく、と口が勝手に動いた。
「A、返事しなよ。失礼だと思わない？」
『な、あに？きりやん』
「ははっ！あー、真名で呼ばれても返事しちゃダメって教えたはずだよね」
酷く嬉しそうに、可笑しそうに笑う彼。くすくすと漏れる声が美しくて思わず頭が揺れた。ガツンと殴られたみたいな変な感じが脳みその中をぐるぐる渦巻いて気持ち悪い。彼の言っていることが分かるのに解らない。咀嚼できない。
「神に失礼な振る舞いをするのがダメって教えたのも俺だけど」
「待つの結構大変だったなあ〜！！あ゛〜今マジで最高な気分！」
やっとだ、と小さく零した彼に全てを思い出して呆然とする。
「俺との約束、Aが違える訳ないよね」
近づく影に、背筋を襲う寒気。素直に軒先で雨宿りしとけば良かった。
旧い契を結んだ彼の唇を私が拒めるはずもなかった。
覚ゆ
1.
(自然に)思われる
2.
似る
3.
思い出される
4.
人から思われる
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ポム(プロフ) - シソラスさん» ありがとうございます、そう言って頂けて嬉しいです😭💕これからも頑張りますので是非よろしくお願いします🙏 (2月26日 0時) (
レス) id: 22cb62df43 (このIDを非表示/違反報告)
シソラス - どの作品も独特で不思議な雰囲気が漂っていてとても好きです…是非応援させてください。 (2月22日 15時) (レス) @page7 id: 1420bb5147 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポム | 作成日時：2024年2月18日 19時
