おぼゆ 👓 ページ11
ピシャリ
天を裂くような眩い光が暗い地面を照らす。数秒ほど遅れてやってきたゴロゴロという独特な音に、この雷結構近かったなあなんて思いを馳せた。
雨脚が強くなる中、雨宿りできる場所を探して辿り着いたのは神社だった。町の中でそこそこ高い場所に位置する神社、祀られてるのは雷神様だとか、お稲荷様だとか色々言われているが正直なところ正確なことは何も知らない。
五穀豊穣だって雨乞いだってごちゃごちゃと多くのイベントをこの神社で行うために、何でもいいかと少し投げやりなのだ。クリスマスもお正月もお盆もやってしまう日本人らしいと言えばそうなのかもしれないが、流石に統一しないと不敬なのでは？なんてたまに考えたりもする。
階段を踏みしめる度にぴちゃぴちゃと泥がスニーカーを汚した。本当なら別にそこらの店の軒先でも良かったのだが、同級生やらに見られるのが嫌で雨宿りが目的だったのに既に濡れ鼠のような格好で鳥居まで辿り着いた。雨が御神木やその他の木にザアザアと降る音と、たまに響く落雷の音が少し荒くなった呼吸音をかき消した。
鳥居に一礼、入るときは端っこから
眼鏡をかけた理知的な横顔の少年が昔に教えてくれた作法を守り神社に参る。服と同じくビチョ濡れのカバンから財布を取り出し中を見るも百円玉しかなかったのでそれを投げ入れた。
彼は沢山のことを知っていた。昔の遊びとか、この町の歴史だとか、あと
「皆いい御縁って言って15円を奉納するけど、別に神はそんなに気にしてなくて、値段は基本高いほうがいいよ」
と少しげんなりした様子で話していた。
二礼
身体をなるだけ直角に曲げる
二拍手
パンっパンっと軽い音が雨音の中響いた
一礼
最後にもう一度礼をする
手を合わせて考えることなんて、雨が止みますようにくらいしかなくて、でもそれを言うのは少し忍びないなとも思った。彼は雷神様かもしれないから。数秒の空白の後にあの時会った少年に会いたいと思った。あの日もこんな風に雨が降っていたと思い出すと、彼のことを思わずにはいられなかった。
ピカッと一等眩しい光が目に入った、直後本当に1秒にも満たない速度で鳴り響く大きな音に驚いて身体を揺らす。
「俺に会いたいって、すげー可愛いこと願うから来ちゃった」
『は、え？』
「久し振り」
にこやかに片手を上げて挨拶をする彼は明らかに人間ではなかった。
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ポム(プロフ) - シソラスさん» ありがとうございます、そう言って頂けて嬉しいです😭💕これからも頑張りますので是非よろしくお願いします🙏 (2月26日 0時) (
レス) id: 22cb62df43 (このIDを非表示/違反報告)
シソラス - どの作品も独特で不思議な雰囲気が漂っていてとても好きです…是非応援させてください。 (2月22日 15時) (レス) @page7 id: 1420bb5147 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポム | 作成日時：2024年2月18日 19時
