第四十五話「しょーちゃん」 ページ46
「あ゛ぁ゛〜〜ほんとどうしよー……」
昼休み、校内某所というか、たまたま校舎内を散歩したときに見つけた中庭のような場所にて、俺は頭を抱えていた
というのも、先日ヒーロー情報学にて貰ったプロからの指名名簿なのだが、如何せん量が多い。有名どころから聞いたこともないようなところまでびっしりとヒーロー事務所の名前が連なるそれから１つ、職場体験の行き先を決めるなんて無理がある。１つ１つ調べていたらキリが無いし、適当な所を選べば後々後悔するかもしれない。というか相手方に失礼過ぎる
「藤丸、此処にいたのか」
「轟君……？何かあった？」
「………」
何事か言おうとして、彼は黙りこくってしまった。何かあったのだろうかと聞こうとして、彼が口を開いた
「俺のこと、覚えてないか……？」
はて、と腕を組んで、思い返す。轟君とは雄英で初めて会った筈だし、まともに喋ったことすらない
轟君、轟、轟焦凍、焦凍……と頭の中で唱えて、ふと思い出した
「しょーちゃん！！」
「思い出したか」
「しょーちゃんが泣いてない！！」
「そこは思い出さなくて良い」
ぷい、と赤くなった顔を背けた彼は、少し子供っぽい
「けどよく覚えてたね。幼稚園とか小学校低学年までしか一緒じゃなかったよね？」
「思い出したのは最近だ。体育祭で、お前と戦ってる最中にな」
しょーちゃんは俺が記憶を取り戻す前、つまり個性が発現する前の友人だ。当時、無個性だと思っていたのにも関わらず、よく遊んでくれた
しかし彼は小さい頃、よく泣く子供だった。転んで泣き、犬に吠えられて泣き、個性を見て泣き、終いには父親を見た途端大泣きするという泣き虫っぷり
そんな彼がこんなにも立派に成長するとは、なんとも感慨深い
「無個性だと思ってたらいきなり個性が発現して、しかも暫く顔を見ないと思ったら引越ししてるし」
「ほんとごめん。色々あって、お別れも碌にできなかったもんね」
「なにが『バイバイだね』だ」
「ごめん」
「ＵＳＪで無茶して腹抉られてた」
「あれは事情がありまして」
「けど、体育祭でお前を見たとき、お前は変わってなかった
やっぱりお前はお前だ。いつになっても、お前は俺のヒーローだ」
「それを言うならしょーちゃんだって、やっぱり変わってないよ
人一倍泣き虫なのも、無茶ばっかするのも、人一倍頑張り屋なのも、君が俺のヒーローなのも」
「おう……
とりあえず、しょーちゃんはやめろ」
終わり
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饅頭 - もう更新しないのですか？ (2020年12月14日 21時) (
レス) id: d3fe79fcb9 (このIDを非表示/違反報告)
遥 - 続きがとても気になります！面白かったです！！ (2019年8月9日 0時) (レス) id: 54047cc432 (このIDを非表示/違反報告)
小豆丸(プロフ) - 月兎さん» ありがとうございます^ ^ちょっと執筆が滞り気味ですが、頑張ります！！ (2018年7月17日 18時) (レス) id: c509ccdcf0 (このIDを非表示/違反報告)
月兎 - とっても面白かったです！頑張ってください！(ロマニさんがどうなっているのかめっちゃ気になる。) (2018年7月17日 18時) (レス) id: 20543c8800 (このIDを非表示/違反報告)
小豆丸(プロフ) - 奏さん» 応援ありがとうございます！ロマニはそのうちまた出てくるのでお楽しみに〜 (2018年7月11日 15時) (レス) id: e73c005897 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆丸 | 作成日時：2018年5月3日 17時
