第三十五話「準決勝」 ページ36
轟 side
色々あったが、試合は滞りなく進んで行った
「これでベスト4が出揃った！！
準決！サクサク行くぜ。轟焦凍対藤丸立香！！」
あのときはおもわず左側を使ったが、まだ迷いが残っている
俺は、親父を完全否定するつもりだった。けど俺のやっていることは本当に正しいのか……
ともかく、考えるのは後だ。今は＿＿＿＿＿＿
「お前の個性は厄介だ。悪りぃな」
こいつを倒す
一気に決めようと瀬呂と同じように氷を使った。しかし、
なぜ氷結を使ったのに、寒くない。寧ろ＿＿
冷気による水煙が晴れた。そこに氷など一欠片も無い。あるのは、
「武器など前座」
身の丈ほどもある槍を携え、穢れを知らない真っ白な髪を揺らす、藤丸の姿だった
その姿はまるで神話からそのまま切り取ったかのように浮世離れしていて、海のような蒼い目も何処と無く違う。どこか無機質なその目が轟に狙いを定めた
「真の英雄は、目で殺す」
その言葉通り、藤丸の右眼がピカリと光った
「ッ！？」
一瞬反応が遅れた。藤丸の右眼から放たれた光線が頬を掠った
赤い血が弧を描き、パタパタとコンクリートの地面に模様を作った
「くそっ！」
苦し紛れに悪態をつきながら藤丸を押し出そうと氷の波をけしかける
しかしどれほど氷を出そうとも、藤丸に届く前に全て溶けてしまう。更に、何をしても無駄だと言わんばかりに藤丸は、スタート地点から一歩も動いていなかった
「ねぇ」
前触れも無く、今まで不気味なほど沈黙していた藤丸が口を開いた
「なんで、
「お前には関係ない！」
間髪入れずに、噛み付くように俺は答えた
すると瞬きをした後、すぐ目の前に藤丸が瞬間移動でもしたかのようにそこに立っていた
「じゃあ君は、半分の力だけで万人を救えると？目の前で誰かが死ぬのが、どれほど辛いのか、君は知ってる……？」
今にも泣き出しそうな藤丸のその表情に、思わず唾を飲み込んだ。しかし、喉は真昼の砂漠のようにカラカラに干からびていた
すると段々と藤丸の真っ白な髪が元の濡羽色に戻っていく。いつの間にかあの大きな槍は消えていた
「俺は、俺の目の前で誰も死なせたくない
君は一体、ヒーローになってどうしたいんだ？だってその力は、君のものじゃないか」
言われて、緑谷に言われた言葉がふと蘇った
“君の！力じゃないか！！”
轟side終了
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饅頭 - もう更新しないのですか？ (2020年12月14日 21時) (
レス) id: d3fe79fcb9 (このIDを非表示/違反報告)
遥 - 続きがとても気になります！面白かったです！！ (2019年8月9日 0時) (レス) id: 54047cc432 (このIDを非表示/違反報告)
小豆丸(プロフ) - 月兎さん» ありがとうございます^ ^ちょっと執筆が滞り気味ですが、頑張ります！！ (2018年7月17日 18時) (レス) id: c509ccdcf0 (このIDを非表示/違反報告)
月兎 - とっても面白かったです！頑張ってください！(ロマニさんがどうなっているのかめっちゃ気になる。) (2018年7月17日 18時) (レス) id: 20543c8800 (このIDを非表示/違反報告)
小豆丸(プロフ) - 奏さん» 応援ありがとうございます！ロマニはそのうちまた出てくるのでお楽しみに〜 (2018年7月11日 15時) (レス) id: e73c005897 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆丸 | 作成日時：2018年5月3日 17時
