どんな君も愛してる【青】 (ページ1)

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プロローグページ1

今日も私は鏡の前で自分の顔と向き合う

薄い奥二重の瞼

低くも高くもない鼻

薄い唇

少し面長気味な輪郭

本当になんの特徴もない"普通"の顔

でも、メイクの力を借りればどんな私にもなれる

アイプチで二重幅を広げてノーズシャドウで鼻の高さも形も自由自在

眉毛の形は顔の印象を決める大事な部分だから丁寧に

リップはオーバー気味に塗ればどんな形にだってできる

『よし、できた』

鏡を見て納得するまで微調整を繰り返す

こんなご時世だからマスクもつけてバッチリ

スマホを開いてカメラで角度を模索しながら自撮りをする

『まぁまぁかな』

画面に映る私は数十分前の私とは大違い

テレビでよく見る女優さんにそっくり

インスタグラムを開いてさっきの写真を投稿する

フィードには過去に投稿した芸能人の雰囲気メイクの写真がいっぱい

約一年前に始めたこのアカウントもありがたいことに数千人のフォロワーさんを持つアカウントになった

写真をあげたからって自分が変われるわけじゃないって分かってるのに、最近はなんだか習慣化しちゃった

『やば、遅れる』

気づいたら出勤時刻が迫ってた

急いでメイクを落として、さっきの濃ゆいメイクとは対照的に薄めにメイクをする

その上からかけるのは大きめのメガネ

このメガネをしてマスクをしてしまえば正直顔はあんまり見えない

これが私の出勤スタイル

『行ってきます！』

誰もいないのに家を出る時に声をかけて虚しくなる何ももう慣れた

小さくため息をついて私は会社に向かった