天使が重すぎる 2 (ページ35)

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EP.83 ページ35

あみside

ラウ「ここ。あみちゃんと来たかった場所」

『来たかった場所、っていうか階段の踊り場なんだけど？』

手を引かれてついたのは校舎の見慣れた階段の踊り場

ラウ「やっぱり覚えてないかぁ」

手を離して少し離れたラウールくんは、こっち来て？って私を階段に座るように促した

ラウ「3年前、あみちゃんの中学校の卒業式の日も僕こんな感じの階段の踊り場であみちゃんに告白したんだよ」

『…そうだったっけ』

あぁ、ものの見事に中学校時代のことを覚えてない自分を恨みたい

っていうか、あの日はあんまり親しくもない後輩にいきなり告白されたことに驚きすぎてほぼ記憶がないんだけども

ラウ「でも覚えてなくていいんだ！だってあの時は名前しか知らないただの後輩だったけど、今はそんなことないでしょ？」

『うん、そんなことない。この1年でラウールくんのいろんな面を知れた気がする』

すごく勉強ができること

でも英語は苦手なこと

足が速いこと

でも球技はちょっと苦手なこと

結構な人見知りなこと

でも年上の懐に入るのは上手で、たくさんのお兄ちゃんに可愛がられてること

そしてめめのことが大好き

人を幸せにできる言葉を恥ずかしげもなく伝えてくれるところ

でも自分から人に何かをお願いするのが極端に苦手なこと

昔は自分に大きなコンプレックスを持っていたこと

でも今では自分の長所に変えられる強さを持ってること

もっともっと細かいところまで考えたら数え切れないぐらい

この1年でそれぐらいラウールくんのことを知って、知った分だけ好きになった

ラウ「僕もね、この1年で今まであみちゃんの今まで知らなかった部分を沢山知って、さらに好きになったよ」

卒業式の日の放課後

卒業生はもちろん、在校生だってもう誰もいない

静かな学校で窓から差し込む光に照らされたラウールくんはとても美しくて、3年前出会った時の不機嫌そうな男の子とは別人じゃないかと錯覚してしまいそう

ラウ「あみちゃん、今まで何回伝えたかもわからないけど言わせてね」

横に並んで座ってるせいで目が合うことはなかったけど、その言葉と同時に視線を感じて横を向くと優しい眼差しのラウールくんと目があった

ラウ「僕はあみちゃんのことが好きです。付き合ってくれませんか？」