泣かないで ページ3
.
「っは、」
床と靴が擦れる音が耳に響く。
もう少し、もう少し、あともう少し。
あと少ししたら辞めよう、
自分の意思に反して体は言うことを聞かない。
ズルズルと足の力が抜けぺたりと座り込んでしまう。
「っなんで、なんでっ!」
立って、立ってよ。
練習を、練習しないと...
みんなに置いて行かれちゃう。
体調管理もできないのか、そうもう1人の自分がヒソヒソと呟く。
わかってる、わかってるよ。
でも練習してないと不安に潰されそうになる。
こうでもしないと自分を保てなくなる。
ぽた、ぽたと握り込んだ拳に落ちるものが。
つらい、しんどい、くるしい。
さむい。
さむいよ、ヒョン。
「Aヒョン...」
いつも自分に優しく、最大限の愛を注いでくれているヒョン。
自分の努力を誰よりも理解してくれているヒョン。
えらいね、すごいね、それだけの言葉で済まさずに、
抱きしめて、労って、何も言わずにずっとそばにいてくれる。
あの暖かさが欲しい。
「Aひょん、」
「なあに」
後ろからふわりと抱きしめられる。
その時に香ったのはいつも一緒にいる...
「ひょ、ん」
「うん、Aヒョンだよ」
体重全部預けて、楽にして。
そう言われると不思議、体の力がすっと抜ける。
今まで何度も力を抜こうとしたのに、抜けなくて、それでまた苛立って...
「どうしたの?何が不安?ヒョンに話してみて」
「、置いてかれる」
「...みんなはジミナを置いて行ったりしないよ、特にジョングクが黙っていないよ」
「そう、かなぁ」
「うん、そうに決まってるよ」
ヒョンの言葉は不思議。
本当にそう思わせてくれる不思議な力がある。
「今日はもう練習おしまい。送って行くから帰ろう?」
「うん、」
「ほら、首に腕を回して」
「...ごめんね、ヒョン」
「んーん、全然。むしろよかった」
「...?」
「ふふ、いいよ。まだわからなくて」
ゆらゆらとヒョンの腕の中で揺られて一気に眠気が襲ってくる。
しばらく揺られてバンの後部座席に乗せられる。
「荷物取ってくるから、寝てな」
「うん、」
「おやすみ、ジミナ」
「おやすみ...ひょん...」
そのあと微睡む意識の中で、優しいヒョンの声が聞こえた。
「一人で泣かないでね、ジミナ」
537人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜華@尻(プロフ) - すごい面白い作品に巡り会えました(><)連載中に読みたかったです……!!!!!! (2018年8月1日 20時) (レス) id: 721eb3d595 (このIDを非表示/違反報告)
TGY(プロフ) - たかのりさん» 一応攻めで進めていこうと思います!もったいないお言葉ありがとうございます、とても励みになります!これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2018年6月9日 7時) (レス) id: c5669fd06b (このIDを非表示/違反報告)
TGY(プロフ) - 朱羅さん» 攻め受け詳しくは決めていませんでした!でもとりあえず今は攻め寄りです...笑 こちらこそ!コメントありがとうございます。 (2018年6月9日 7時) (レス) id: c5669fd06b (このIDを非表示/違反報告)
たかのり(プロフ) - とてもおもしろいです!数話でもう魅了されてしまいました(^^)会話からして攻め主っぽいのでそれも嬉しいです。攻め主希望!作品作り頑張ってください! (2018年6月8日 23時) (レス) id: e7418c529b (このIDを非表示/違反報告)
朱羅(プロフ) - えっ攻めですか?攻めですか!それとも攻め寄りリバですか!有難うございます! (2018年6月6日 1時) (レス) id: 05706361fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:TGY | 作成日時:2018年6月5日 22時