一目惚れしたのは継子でした。【竈門炭治郎】 (ページ39)

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「落ち着いた…？？」

『う、うん…ごめんね、お姉ちゃん…』

暖かい粗茶をお姉ちゃんは私に手渡す。

心にまで温かさが染み付いた気がして安心する…

これは現実なんだ…

『なんかすっごく悪い夢を見てた気がするの…』

「そう…今日は早めに寝ようか、早速お風呂入れなきゃ。」

お姉ちゃんは腕をまくり水汲みを手に持つが＿＿

『あ、お姉ちゃん、私がいくよ』

「で、でも＿＿」

『いいの。お姉ちゃんずっと家のことしてたでしょ？今度は私が仕事する番！』

姉は菫色の瞳を潤わせ、優しく微笑んだ。

「もう仕方ないなぁ〜」

『これぐらいしないと師範のようにはなれないから。』

姉は首をこてんとかしげ、目をまん丸にした。

私も状況を読み込めず、こてんと首を傾げてしまう。

「＿＿？？

しはん？ってなに？」

『えっ＿＿＿あれ？』

自分の口からするっと出てしまった言葉『師範』

おかしいな、師範ってなんのことだろう。

『ご、ごめん、なんか間違えちゃったみたい』

「えーほんとに大丈夫？？？」

『んも、へーきだってば！いってくるね』

心配をする姉をよそに

古屋のすぐ近くにある川まで水を汲みにいくことにした。

さっきからおかしいな、いつものことなのに、

姉とか家とかここら辺の山とか全てが懐かしく感じてしまう。

師範って＿＿＿なんだろう。

『……疲れてるのかな。』

私は川に反射された自分の顔を見てつぶやいた…

その時

「起きて！Aさん！」

『！？』

聞き覚えのある男性の声が私の耳に反響する。

周りを見渡すも相変わらず人気はいなく、川の流れる音、鳥の囀りの音が

響き渡っていた。

『気のせい＿＿？』

「起きてよ！Aさん！！！」

『だ、だれ＿＿？』

そして川の方をもう一度振り返ると＿＿＿

額に大きな傷、赤い髪＿そして優しい瞳の男性が訴えかけていた＿＿

『ひっ＿＿＿！！

あっ＿＿！』

そして手を引っ張られ、川に落ちてしまう。

溺れて苦しいはずなのに、なぜか溺れているような感覚は全くなかった。

「俺のこと忘れてしまったんですか？Aさん

俺、まだAさんにちゃんと伝えてないことがあるのに…」

やさしくぎゅっと私を包み込んだ。

その匂い、太陽のような温かく優しい体温には見覚えがあった。

【俺、Aさんのこと女性として＿＿＿】

『炭…治郎君……？』

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