【募集企画】柞吹学園【小説】 (ページ27)

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第27話【能力披露:白鳥姉弟その2】白鳥絵留視点ページ27

『お次は弟さんとご一緒に！どんなパフォーマンスなんですかね～』
「えーっと。僕は白鳥絵留だよ。宜しくね！」

笑みを浮かべ、右目を瞑ってウィンク。
生徒の反応はまぁ良しかな。

「よし。いくよ、ねぇね」
「はいはい。……手加減してよ？」

うん、と小さく返事をする。
姉ちゃんと2人で観客に向かって手をかざす。
ぬいぐるみは頭の上に乗っけて、両手を上に上げている。

現れたのは、小さな竜巻。
生徒一人に一つの竜巻、とでも言うように足元に存在していた。
なかなかの勢いで回っている。

「そーれっ！」

パチン、と指を鳴らすと、竜巻は、生徒を巻き込んで動き出す。
不規則に動く竜巻に、奇声をあげたり笑ったり硬直する生徒たち。
もちろん、先生たちは巻き込んでいない。

「ジェットコースター、ってところかな？」
「そんなこと言ってないでちゃんと調整しないと……落としちゃうよ？」

そう。意外にこの技は調整が難しい。
少しでも間違うと、生徒同士がぶつかったり落としてしまう可能性がある。
しかし、そんなことをするわけがない。

「そうだっ！僕の技、炎を操る力も見せてあげるよっ！」

そう言うと、突如炎の柱が形成される。
柱は轟々と燃え上り、勢いを止めることを知らない。

『あの～、そろそろ目が！回ってきましたよー！』
「あ、すいませんすいません！すぐに止めますね！」

と姉ちゃんが言うと、僕のも入れて全員の生徒が元の位置に戻される。
それに、炎の柱も水によって消えてしまった。

「もっとやりたかったんだけどなぁ……」
「我慢して。……では、白鳥純花、絵留の能力披露は終わりです」

『中々のスリル！疾走感バッチリのパフォーマンスでしたね！』

走り回る椿先輩から少しずつ距離をとる。
だって、僕あんなに煩い人嫌いなんだもん。

ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて、中から飴を取り出す。

「本当はこれをまいても良かったんだけどね～」

餌付けみたいで面白そうだったんだけど、
姉ちゃんに『なんか絵面がヤバいから駄目』と言われて無しになったのだ。

チラッと一年生を見ていると、何人かと目が合う。
そのほとんどが女子、ちょっと男子が混じっている。

「男とかキモいんですけど……僕そっちの気はないからっ」

誰にも聞こえない声でそう言うと、直後に次の披露が始まった。