【募集企画】柞吹学園【小説】 (ページ2)

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第2話【こちら生徒会長】美空裕太視点ページ2

生徒会室の扉に手をかける。
あんまり勢いよく開けると危ないので、ゆっくり開ける。
今日は静電気がこなかった。よしよし。

「おはようございます……うん、皆いないね」

現在の時刻は午前6時半。
普通の日なら早すぎるが、今日は普通だ。
迷わずに、生徒会室にある1番奥の椅子に腰掛ける。

「うーんと、もう一回段取りを確認しようかな～」

綺麗な並べられた机の上にある書類を掴む。
そこには、大きな文字で【入学式段取り！！】と書かれてあった。
左上には極秘のハンコが押されている、少し不思議な書類。

なぜ極秘かというと。
柞吹学園にとって、行事は騒ぐためにある、と言われているからである。
全員が知っていては楽しめないため、こういった書類は極秘なのだ。

ちなみに去年は生徒会全員で茶番劇を披露した。
結果は……思い出したくもない。

そんないらない伝統を継いでいくため、今回もまたふざけた内容が書き記されてある。

「でも、【生徒会による能力披露、そして起こるクイズ大会】って意味わかんないよね」

クイズの内容は簡単。
生徒会のメンバー、各部の部長についてのクイズだ。
早くこの学園のことを知ってもらえるようにと考えたもの。

でも、能力を披露することとクイズ大会に共通点を見出せない。

「3年前もクイズ大会やったっけ」

まるで昨日のことのように思い出されるあの惨事。

『では！我らが柞吹学園の教師を務める男の先生。誰がカツラで誰が植毛か！』

こんな問題から始まった大討論会。
やれあの先生だこの先生だ、と生徒会のメンバーは大声で名前を叫ぶ。

生徒は大爆笑。

しかし、生徒会はのちに大変なお咎めをくらった。

「でも、今回は流石にないよね？ないよ、ね……」

不安を募らせながら、生徒会のメンバーが集まるのを待った。