【募集企画】柞吹学園【小説】 (ページ1)

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第1話【朝ですね】白鳥純花視点ページ1

いかにも朝、といった感じだった。
太陽はらんらんと輝き、私達の体力を減らしにかかってきている。
周りにはちらほらと生徒が見える。

「あれ、ねぇね。寝不足？」
「ん、ちょーっとね」
「またゲームばっかりしてたの？もぅ、ねぇねったら」

私の弟であり天性の詐欺師、白鳥絵留と共に歩く。
絵留は抱きかかえている馬鹿でかいぬいぐるみを器用に持って歩いている。
ちなみに今日は真っ黒な兎のぬいぐるみだ。
私はというと、特にそんか個性付のような物は持っていない。

「そうだ！今日ね、僕お買い物に行きたいなぁ～」

絵留がわざとなのか天然なのか。大きい声で言った。
その大きな目に映っていたのは何人かの生徒。

案の定、絵留の瞳に囚われた生徒達が近寄ってきた。

「あ、あの、私たちも行ってもいいですか？」
「うん！いいよ、皆で行こ～」

生徒達は嬉しそうにはしゃいで走り去っていく。
絵留は、聞こえないような声で呟いた。

「だって、好きなのなんでも買ってくれるじゃん？」

うわ、出たよ悪魔。
私は心の中で愚痴を吐く。

「ほら、絵留。そんなこと言ってないで行くよ」

今日は柞吹学園の入学式。
生徒会の一員である私達は、当然早く登校しなければならない。

「もー、姉ちゃんの人気の半分は僕のおかげなんだよー？少しは協力してよ」
「んなことないし」

ついに本性を現したか……。
他人の前じゃ「ねぇね」なんてぶりっ子してるけど、
「姉ちゃん」と呼んだときは、ほぼ腹黒い本性が現れている状態。

「あっ！僕によく貢いでくれる子発見！」
「大声で言わないで」

いくら遠い距離だからといって、それは心の中にしまっておくべきだろう。
朝から襲いかかるストレスに怯えながら、急ぎ足で生徒会室へ向かった。