悪魔の囁き。 ページ19
今、私は１人で屋上に居る。
これは、いじめの誘いじゃなくて、自分で来るって決めてたの。
どうしてだろうね。
今のままでもすごく苦しいのに、
良い未来があるってわかった時から
死ぬのが怖くなっちゃったんだ。
頭は「死にたい」でいっぱいでも、
体は「生きていたい」でいっぱいなの。
この屋上から飛び降りることができれば、
私は楽なのかな？
＿＿＿あなたは死にたい？
うん、死にたいよ。
＿＿＿じゃあ、死んだら？
でもね、怖いの。
＿＿＿でも、いじめられるのが終わるのよ？
私にはきっと良い未来が待ってると思うの。
＿＿＿そんなの、わかんないよ？
わかんないけど、私は待つの。
＿＿＿待って何の意味があるの？
いっそ、死んだ方が楽なんじゃない？
そ、それは…
＿＿＿君は死んだら終わりって思ってるの？
だって、そうじゃない。
＿＿＿じゃあ、魔法の言葉をあげる。
魔法の…言葉…？
＿＿＿えぇ。
教えてよ、魔法の言葉。
＿＿＿生まれる前は死んでいたんだから。
死ぬことは生まれる前に戻るだけ。
あ、本当だ。魔法の言葉だね。
＿＿＿でしょう？もう、怖くも痛くも苦しくもないわよ。
足が勝手に動いてるような感じがする。
あーあ、今の言葉なら、死んでもいいって思っちゃう。
本当に悪魔ね。
私は今、悪魔に踊らされている。
もう、落ちちゃうな。
「っと。てめぇ馬鹿かよ！」
…え？
私落ちたんじゃ…
十四松 「馬鹿！あと一秒でも遅かったらどうなってたか…」
A「ご、ごめん。」
十四松 「ったく。なんでも抱え込むなよ。」
A「抱え込んでなんかない。」
十四松 「時には頼ってくれよ。」
A「わかった。」
頼る、か、
頼るってなんだっけ。
ごめんね。十四松。
私…頼るがわかんない。
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作者名：あんず。 | 作成日時：2022年8月9日 19時
