運命論者の悲み 7 ページ15
再び携帯を耳に当てた彼女の顔に、もう笑みはない。
『やァ調子ど「変更ナシです」・・・扱いが非道いよね?ボク仮にも幹部だよ』
「仮じゃないですか」
『うん、まあ仮だけどそういう話をしてないよね・・・』
電話の相手は、現在西方に出張中の城である。
無言の室生に埒が明かないと踏んだのか、城は言葉を繋いだ。
『変更ナシ、って事はボコボコにされちゃったのかあ。うんうん諒解。殺されはしてないだろうから、首領に見付からない様に後処理頼んだよ』
「判りました。人遣い荒くて少し腹が立ちましたので羊羹買って帰ってきて頂けますか」
『君も大概だよ…お土産考える手間省けて良かったけど』
「
『うーん同意しかねる』
「そうですかでは失礼します」
『え?ちょっ』
ツー、ツー、ツー。
この音が鳴るのは勿論、室生が通話終了釦を押したからである。
城がこの程度で機嫌を損ねる様な人間では無い事を見越しての行動ではあるのだが。明らかに上司に対する行動ではない。
それは室生にも判っている。
「本っ当、腹しか立ちませんねえ・・・」
そう呟いて、何時までも伸びた儘の立原の頬をぺちんと叩いた。
若い彼は、思っていたよりも早く覚醒してくれた。
虚ろな目で、此方を見て──びくびくっ、と肩を震わせた。
「むっ、室生、サン」
「あ、はい。生きてて良かったです」
襲撃失敗お疲れ様です、と云う彼女の嫌みに、立原は暫く声を失った。
やっとの事で取り戻した声には、覇気が全く無かった。
「処罰は、如何に」
その言葉に、こてんと室生は首を傾げる。
「首領に暴露なければ何も有りませんよ。其れに、厳重処罰を受けるなら貴方方ではなく指示を出した樋口さんでしょう。まあ・・・マフィアの恥と云われ、仕事を回されなくなる位じゃあないですかね?」
そんな事を可愛らしい仕草で淡々と云う美しき少女に、立原は縮み上がった。
其れッて要は馘首の一歩手前じゃねえか。
「樋口さんが物理的に頸を切られるのは私も嬉しくないので、如何にかして処理しますよ。はい、先ずはその辺の方々起こして下さい。怪我の確認しますから」
あーもう忙しい忙しい。
この日の仕事は、現場に駆け付けた樋口と共に、首領は知らないと云う診療所に構成員を押し込み、色々な人間を黙らせ、証拠を揉み消す、と云う、何とも面倒な物であった。
嗚呼、矢っ張り龍之介さんと仕事が出来ない!
灘です!テスト死んだ!
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作者名:灘 むしとりあみ+ x他1人 | 作成日時:2016年7月6日 5時