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関東最大勢力を誇る ｢ 本郷一家 ｣
──────── … 長女 ､ 本郷桜子
彼女の人生は生まれた瞬間から定められている ｡
たとえば ｡ 2053回 ｡ 彼女 ､ 本郷桜子が車窓からの景色を眺めながら登校した回数である ｡
｢ お嬢 ､ いってらっしゃいやし ｣
｢ はい ､ 行って参ります ｣
黒塗りの送迎車を見届けた桜子はゆっくりとした歩みでアスファルトを踏みしめた ｡
風に吹かれた桜や葉が彼女を包み ､ ひらりとスカートをさらっていく ｡ 不意に彼女は身を翻した ｡
｢ ! 黒田 ､ さん …… ? ｣
｢ 脅かすつもりはなかったんだが …… ｣
｢ …… お恥ずかしい話ですが ､ 昨日のように無法者が絡んでくるのでは … と身構えてしまいました ｣
｢ 無理もない ､ 君は女性だからな ｡ それから警戒心はあるに越したことはない ｣
顧みた視線の先には黒いベレー帽の彼 ､ 黒田官兵衛 ｡ 曖昧にもクラスメイトの名を呼んだ桜子は気恥しそうに本音を吐露した ｡
特進の女子生徒はふたりだけ ｡ 桜子とみやびだ ｡
飄々としている黒田だが ､ 彼なりに女性であるふたりのことを心配していた ｡
｢ …… 特進の皆さまはお優しいのですね ｣
｢ 奴等が優しいとは … 実に似合わん言葉だな ｣
｢ そうでしょうか … ? 皆さまは女の私にも親切にしてくださる善い方々だと思います ｣
眉を顰めた黒田に対し ､ 桜子は優しい微笑みを添えてそう言うと教室に向かった ｡ 歩調を合わせている黒田は僅かに顔を歪めた ｡
｢ 本郷は戦が嫌いか ? ｣
｢ はい ､ 血を流すところは見るに忍びないですから ｣
｢ ではなぜ銀杏高校に来たのだ ? ｣
｢ どうして … そんなことをお尋ねになるのですか ? ｣
ひとつ目の質疑に応答した桜子だったが ､ ふたつ目の質疑に対しては言葉を詰まらせた ｡
はくりと一瞬震えた唇を黒田は見逃さなかった ｡
｢ 日下部にも言えることなんだが … 単刀直入に言えば不良校の銀杏高校においてお前達は異質だ ｣
｢ いしつ ､ ですか …… ? ｣
｢ あぁ …… 次いで本郷は ､ ｣
｢ 銀杏高校は交通の利便性が良いのです ｣
｢ は … ? ｣
ただそれだけのことだと理由を述べた桜子は微笑み ､ 一足先に教室へ足を踏み入れた ｡
静かな廊下では黒田が楽し気な笑みを浮かべていた ｡
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あめ??(プロフ) - 続きが見たいです！是非続編でもいいので、作っていただけると嬉しいです！ (5月7日 23時) (
レス) @page27 id: 3d269f0d91 (このIDを非表示/違反報告)
静波紅音 - これで終わりなんて寂しすぎます！！！続きが見たいです！！ (9月25日 9時) (レス) @page27 id: 664202b07f (このIDを非表示/違反報告)
SugaR?(プロフ) - とっても面白いはなしで大好きです！頑張ってください楽しみにしてます！！ (2022年10月2日 17時) (レス) @page11 id: 0fe5d9de4b (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます！ (2022年9月26日 21時) (レス) @page3 id: b848bb5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十日夜香耶 | 作成日時：2022年9月25日 0時
